生物にあふれた美しい地球の姿を捉えたドキュメンタリー。


50万年前、まだ若い地球に巨大な隕石が衝突しました。そのために、地球の地軸は23.5度傾き、そのために、地球には四季のうつろい、寒暖の差が生まれ、多様な生命が生み出されることになったのです。現在の地球の上で生きる様々な生命の姿が、北極から南極へ移動しながら映し出されていきます。まずは、北極に住むホッキョクグマの親子の姿から...。


映像は綺麗でした。どこかで観たことがあるように思える映像もありましたが、それでも、息の呑むような迫力が感じられる場面も多く、観ていると、素直に「自然って素晴らしい」と思えるような、そん作品でした。


ただ、残念だったのは、狩の場面など、最後まで描かれていなかったこと。残酷だから...ということなのでしょうか。けれど、死は生き物にとって避けられない運命。食物連鎖の頂点に立つ私たち人間を含め、あらゆる生物にとって平等にもたらされる運命、それが死です。


そして、生き物にとって、最も大きな関心事である食べること。命を繋ぐために何より大切な行為が食べることなのです。それを「残酷だから」という理由で排除したのだとしたら、そこにあるものを「本物の自然」と呼ぶことはできないでしょう。食べるものと食べられるもの。そこにあるのは、単に、「食べる側の強者と食べられるか弱いかわいそうな弱者」という関係ではありません。食べることは、より大きな力を持っているはずの食べる側にとっても楽なことではなく、食べられる側も捕食者の存在がなければ種の繁栄は望めません。捕食者が適度に数を減らしてくれるから、食べられる側も種を維持することが出来る。だから、餌にされることの多い動物は数多く生まれてくる。それこそが、自然の摂理というものなのだろうと思いますが...。


地球温暖化の危険がささやかれ、環境保護が呼びかけられています。環境が激変する中で絶滅の危機に瀕している種もあるのだとか。現在の環境の変化が、どの程度、人間の責任にあるのかはわかりません。人為的な環境破壊なのか、長い地球の歴史の必然としての環境の変化なのか。けれど、これまでの46億年という悠久の歴史の中には、氷河期もあり、温暖な時期もあり、大きな気候の変動が度々起こり、多くの種が誕生し、繁栄し、そして、絶滅していったのです。


その辺りの、これまで地球上で起こってきたことの現実に触れないままでの最後のナレーションには、少々、あざとさを感じてしまいましたが...。


それでも、美しい自然を楽しみたい方にはお勧めです。折角なら、映画館の大きなスクリーンで観たい映像ではあります。



公式HP

http://earth.gyao.jp/



アース@映画生活