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クロッシング・ザ・ブリッジ ~サウンド・オブ・イスタンブール~


イスタンブールの音楽シーンを切り取ったドキュメンタリー。イスタンブール音楽入門のテキストといったところでしょうか?


1980年代、ヨーロッパを中心に人気を博したドイツのグループ、アイシュデュルツェンデ・ノイバウデンのメンバーであるアレキサンダー・ハッケは、イスタンブールの音楽シーンの魅力に取り付かれ、その魅力の謎を解くために、録音機材を抱えて現地を訪れます。時に、彼自身も演奏に加わりながら、ロック、フォーク、ラップ、古典音楽、クルド民謡など、様々音楽とそれに関わる人々を紹介していきます。


西洋と東洋が出会う街、イスタンブール。けれど、思っていたよりも、ずっと、西洋的な印象を受けました。トルコがEUへの加盟を熱望してきたことも納得できます。


多くの民族が、それぞれの音楽を持ち、楽器を持ちます。そんないるいろな楽器やリズムやメロディーが流れる街。そんなイスタンブールの姿をいろいろな角度から見せてくれます。様々な文化や価値観が交じり合う街でありながら、世界のどもにでもある民族差別や少数民族の弾圧といった問題から免れることもできずにいる街。少しだけではありますが、その暗部にも目を向けつつ、それぞれの持つ音楽の力をたっぷりと伝えてくれます。本当は、もっと、政治的な問題や宗教的な問題を抱えている街なのでしょうけれど、その辺りについては、あまり言及せず、純粋に音楽に焦点が当てられています。それが良かったのか、悪かったのかは微妙なところですが...。


けれど、もう少し、イスタンブールの置かれた状況について、政治的なものや宗教的なものも含めて描かれていた方が、その中での音楽の存在意義のようなものを実感でき、イスタンブールの音楽シーンの魅力をより感じ取ることができたようにも思えます。


様々な異質なものが出会い、交じり合う混沌や融合の中から新たなものが生まれ、不思議なエネルギーを呼び起こす。同様に異質なもの同士が出会う場所としては、ニュー・ヨークが思い浮かびますし、ある意味では、東京もそういった特徴を持つ街ですが、異質なものを昇華する方法やベースとなっているものの違いあるのでしょう、イスタンブールならではの雰囲気を感じることができました。


以前から、是非、行きたい街の一つだったイスタンブール。益々、行ってみたくなりました。



クロッシング・ザ・ブリッジ ~サウンド・オブ・イスタンブール~@映画生活