日活
酒井家のしあわせ



関西の田舎町で暮らす酒井家は、父・正和、母・照美、長男・次雄、長女・光の4人家族。一見、どこにでもありそうな一家なのですが、実は照美は再婚。次雄は前夫の連れ子で、次雄と光は父親違いの兄妹というちょっと複雑な関係になっています。そんな家族 関係を鬱陶しく感じるようになっていた次雄は、親友ナリとつるんだり、同級生の秋に変な告白をされたりする日々を過ごしていました。そんなある日、照美と喧嘩をしていた正和が、突然、家を出ると言い出し...。


一見、どこにでもありそうな普通の家族。けれど、その中にはいろいろな問題が潜んでいます。けれど、普通の家族であるように見えることとその内実問題を抱えているということは、決して、珍しいことではないでしょう。多くの家族は、一見普通の家族であると同時に、何らかの問題を抱え込んでいるものではないでしょうか。


家族というのは、時として、その内側にある問題を隠す盾となっています。本作に登場する酒井家にも、フツ~とは、ちょっと違ったところがあります。そして、そんな酒井家に持ち上がる、父、正和が起こした騒動。


それにしても、正和の"嘘"は、もうちょっと何とかならなかったものか?あまりに浅いというか。「家族を傷つけないための優しい嘘」というには、作り込み足りないというか...。この"嘘"は、本作で、大きなポイントとなっている部分なので、もっと、説得力のあるものにして欲しかったです。


それでもなお、私たちにとって、どこか懐かしい感じがする日本のよき家族の一例を見せてくれて佳作であることも確か。お互いを思い合いながら、すれ違っていく家族の様子には、滑稽さと愚かさと暖かさがあり、何より、愛が感じられ、その点では、好感が持てました。


ユースケ・サンタマリアが、時に頼りなく弱々しいけれど、けっこう、頼りになることもある強い面も持った父親を好演。友近も、いかにも関西のお母ちゃんという雰囲気が出ていて良かったです。子役たちも、それぞれの年齢に相応しい微妙な心情を表現して印象的でした。




酒井家のしあわせ@映画生活