パイオニアLDC
ハメット


「マルタの鷹」「ガラスの鍵」「影なき男」といった名作を世に残したハードボイルド小説の元祖、、ダシール・ハメット。そのファンだったJ.コアズのハメットを主人公にした小説を映画化した作品。


舞台は、1928年のサンフランシスコ。有名探偵社、ピンカートン社の腕利きの調査員だったダシール・ハメットは、自身の経験を元にした小説を書こうと作家に転身し、成功します。ある日、ピンカートン社時代の仲間だったジミー・ライアンが訪ねてきます。クリスタル・リンという中国人の少女の捜索を手伝って欲しいとのこと。ハメットは、一度は断りますが、事件に巻き込まれ...。


セピア調の凝った映像が、時代を映します。サンフランシスコの街の雰囲気、そして、チャイナタウン。特に、チャイナタウンの中でも特にディープなエリアの描写は、いかにも怪しげで、猥雑で、作品の雰囲気を盛り上げています。


ただ惜しむらくは、どうも、ハードボイルドになりきれていないこと。どこか、ヒューマニズムの臭いがあり、しっとりとした柔らかさが感じられます。ハードボイルドにも、ヒューマンドラマにも徹し切れなかった中途半端さが気になりました。


裏社会に棲みつく癖のある男たち、小悪魔のようなクリスタル・リンの妖しい魅力、ハメットの渋いダンディズム。惹きつけられる部分も少なくはなかったのですが...。




;ハメット@映画生活