ハピネット・ピクチャーズ
アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵


おしどり探偵、トミーとタペンスを主人公にしたシリーズの「親指のうずき」を、原作のロンドンからフランスに舞台を移して映画化した作品です。


プリュダンスは、美しく広がる田園のお屋敷で、優雅に生活する奥様。けれど、好奇心旺盛で、殺人事件となれば、首を突っ込みたくなる性分。ある日、夫のゼリベールの叔母が老人ホームで亡くなり、その遺品を整理していたところ、その中にあった一枚の絵に目を惹きつけられました。調べてみると、この絵を叔母にプレゼントした元の持ち主だった老婦人が失踪していたことが分かります。事件の予感、"親指のうずき"を感じたプリュダンスは、心配するゼリベールを無視し、絵に描かれた家と失踪した老婦人を探しに出かけ...。


アガサ・クリスティーのミステリーとしては、推理の面白さ、トリックの意外さなどの面で、アガサ・クリスティー原作の作品としては、やや弱さが感じられなくもありません。けれど、さりげなく張り巡らされた伏線がきちんと回収される丁寧な作りで、最後まで飽きずに見ることができました。推理物としては、左程、考えさせられるものではありませんが、全体にオシャレな感じでコジャレタ雰囲気を味わう作品と言えるでしょう。


原作の舞台はロンドンとのことですが、舞台がフランスに移され、いかにもフランス的なオシャレでロマンティックな雰囲気になっています。主人公の夫婦も、長い結婚生活を経て、なお、恋人同士のように愛情を交換し合うのもとても可愛らしい感じがしました。


軽く楽しめる小粋な作品に仕上げられています。




アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵@映画生活