レントラックジャパン
プラハ!


東欧の社会主義国でありながら、「プラハの春」と称される自由な時代を謳歌していたチェコスロヴァキアが舞台となっています。女子高生で、仲間同士のテレザ、ブギナ、ユルチャは卒業を控え、燃えるような恋とロストバージンに憧れていました。その頃、社会主義体制に反対しアメリカ亡命を夢見る兵士シモン、ボブ、エイモンが軍隊を脱走し彼女たちの住む町へ逃げて来ました。偶然出会ったテレザは、一目でシモンと恋に落ち...。


全体にチープな感じの作りでした。映画館で大画面で観るというよりは、DVDで家庭用の普通のテレビで観てちょうどよいサイズなのではないかと思います。


カラフルな衣装などに、いかにも自由で明るい感じが表現されてはいるのですが、映画を観ているというより、アパレル関係の会社のCMといった印象を受けました。


釣りから自転車で帰るお父さんの映像と侵攻していく戦車の映像が重なる場面は、「プラハの春」の終焉を実感させられる場面となっていて、武力で自由を押さえつけることの悲劇が見事に表現されていましたし、他にも、いくつか、印象的な場面はあるのですが、一つの長編の作品としてのまとまりにはやや欠けていて、一本の映画作品としては、あまり強い印象は受けませんでした。


むしろ、カラフルな衣装で自由に振舞う高校生たちを描いた場面と制圧に向う戦車とお父さんが重なる場面のそれぞれを30秒程度のCMとしてまとめ、平和や自由の尊さを訴える連作のCM作品として仕上げた方が、長く印象に残る作品になったような気がします。


本作の制作が2001年。東欧諸国での社会主義体制が崩壊した後のことです。もっと思い切った表現がされても良かったようにも思えます。もっとも、ベルリンの壁崩壊とそれに続く東欧での社会主義体制の崩壊が始まったのが、1998年。それから、わずかに3年後の作品ですから、様々な制約の中で一定のパターンの映画しか作ることのできなかった映画製作者たちが、十分に表現力を取り戻せていない時期の作品ということだったかもしれませんが...。




プラハ!@映画生活