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フランキー・ワイルドの素晴らしき世界


スペインのイビサ島は、高級リゾート地であり、人気クラブが軒を連ねるところでもあります。フランキーは、そのイビサ島のクラブを中心に、ヨーロッパ中で活躍するミュージシャンです。天才と呼ばれ、美人の妻と豪邸に住み、酒に溺れ、ドラッグをかかせない享楽的な生活に満足していました。ところが、ある日、フランキーは、ミミの聞こえが悪くなっていることに気付きます。最初は、そのことを受け容れられず、否定しようとしますが、ある日、完全に聴力を失ってしまいます。音楽を創り出すことができなくなり、自暴自棄になっていましたが、読唇術の女性教師であるアンナと出会い、自分自身の人生を取り戻していき...。


好きなことを仕事にし、その道で成功し、成功に酔いしれている時に、自分の運命に大きな影が射したことを知り、絶望し、やがて、立ち直る。大きな挫折を味わい、それを潜り抜けるうことで、初めて見えてくるものがある。初めて理解できるものがある。そして、初めて、気付く幸福の形がある。フランキーもミュージシャンとして致命的な傷を負い、一度は、大きな絶望と不安に落ち込みながら、最後には、自分の人生を取り戻し、新たな幸福の中に生きていけるようになります。

ストーリーの流れには、ご都合主義な部分も感じられましたが、フランキー存在には、妙なリアリティがあり、実在の人物をモデルにしたのかと思ってしまいましたが、特定の一人のモデルがいるわけではなさそうですね...。

フランキーの成長物語としては、それなりに楽しめました。もっとも、この内容であれば、もう少し、主人公の年齢を若くした方が、説得力を持てた気もしますが...。

何が人に幸福をもたらし、何が不幸となるのか...。まさに、「禍福はあざなえる縄の如し」「人生万事塞翁が馬」。きちんと生きていけば、挫折を成功のきっかけにし、不幸を幸福の原動力に変えることができるということなのでしょう。


ただ、作品としては、あまりに予定調和的というか、収まり方が安易だった気もします。もう一工夫あれば、もっと面白いものになったと思うのですが...。



フランキー・ワイルドの素晴らしき世界@映画生活