ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
愛と哀しみのボレロ


1930年代のモスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨークの4つの都市で物語りは始まります。4人の芸術家たちは戦争に巻き込まれ、過酷な戦中、戦後を生き抜いていきます。そして1980年、彼らのすべてが、ユニセフのチャリティ・コンサートが開かれ、その会場となったパリ、トロカデロ広場に集まります。


同じ俳優が一人二役で親子を演じるという形がいくつありましたが、親と子が、今ひとつきちんと演じ分けられていないケースが目立ち、少々、混乱してしまいました。


そして、全体に、淡々とした静かな描写が多く、その割りに、時間が長く、冗長な印象が残ってしまいました。


ラストのジョルジュ・ドンのボレロが見事!本作で、最も感動的な場面です。このボレロを見るための作品になってしまっているような...。少々、ラストに至るまでのストーリーとラストのボレロの表現力のバランスが悪かったかもしれません。全体に、もっとスリムにして、テンポを上げ、1時間半程度にまとめて、たっぷりとボレロを見せるという形にしたほうが、バランスよく仕上がった気もします。


ボレロという音楽の力、ジョルジュ・ドンの肉体の力、モーリス・ベジャールの振り付けの力...。圧倒されます。このためだけにある映画があってもいいのだと納得させられる迫力です。(ただ、それにしても3時間は長い...)


そして、ラストのボレロが、折角、感動的なのだから、その後のエンドロールで別の音楽は必要なかったような...、というより、ない方がずっと良かったような...。最後の最後で、作品に入り込んでいた気持ちが一気に冷まされてしまいました。


登場人物が、それぞれに、実在の人物を思わせるところがあり、観ていて、「これは誰のこと」、「あれは誰のこと」と思いながら観るのも一興。モデルとなったであろう人物についての知識がある程度あると、より楽しめると思います。




愛と悲しみのボレロ@映画生活