ポニーキャニオン
アイ・アム・デビッド

第二次世界大戦直後のブルガリア。共産主義国が周辺国に圧力をかけていた時代で、反政府的な言動があると強制収用所に入れられてしまうような社会でした。デビッドは家族から引き離され収容所で育った12歳の少年。劣悪な環境で育ったデビッドは、生きるために収容所を脱走することを決意。ある人物の助けを受け、収容所を抜け出し、祖国のデンマークを目指します。

デビッドを演じたベン・ティバーの名演が光ります。時々の表情に説得力があり、デビッドの心の動きや成長という部分では、リアリティを感じさせてくれます。

ただ、構成の問題なのだと思います。何だか、あまりにご都合主義名展開は興ざめでしたし、緩急の付け方、表現の比重の付け方が、今ひとつ、肌に合いませんでした。


ところどころで過去の映像が挿まれるのですが、そのタイミングなどが唐突で不自然な感じがしましたし、丁寧に描かれている部分とサッと流されている部分のバランスが悪い感じがしました。特に、デビッドが出会ったスイスに住む老婦人を信頼するようになる過程やラストの母との出会いまでの過程は、もう少し、丁寧に描いて欲しかった気がします。


そこがなかったために、全体としては、淡白な感じになってしまい、観終わって、何だか、はぐらかされてしまったような気がしました。


基本的なストーリー自体は悪くないので、やりようによっては、もっと印象に残る作品になったと思うのですが...。



アイ・アム・デビッド@映画生活