島田 洋七
佐賀のがばいばあちゃん

先日、観た映画「佐賀のがばいばあちゃん」 の原作です。


作者は、島田用八と漫才コンビB&Bを組み一世を風靡した島田洋七。B&Bといえば、1975年にNHK漫才コンテスト最優秀新人賞を受賞し、1980年頃からの漫才ブームの火付け役。もう30年も前のことだったなんて、時が過ぎていく速さに驚かされますが、B&Bの奇術師ネタの漫才をTVで見たことを覚えています。

確か、その頃にも、佐賀での生活や本作の主人公であるばあちゃんの話はネタとして出てきていた記憶はあります。何ともスゴイおばあちゃんだ...と思いつつ笑ったものです。


映画では削られているエピソードもあり、それも面白かったのですが、ばあちゃんの数々の人生訓(?)は、文字で読むとよりインパクトが感じられ、胸に沁みました。

本作の勝因(?)は、第一に、何といっても、ばあちゃんその人の強烈なキャラクターにあるのだとは思います。けれど、それだけでなく、グイグイばあちゃんワールドに読者を引き込んでいく文章の力もなかなかのもの。感傷的になりすぎず、自らの貧しさや弱さを笑い飛ばしつつも弱さや哀しさも見せてくれるような文章は、読みやすく、分かりやすく、すんなりと心に届きました。

そして、原作を読んでみて改めて思うことは、映画でばあちゃんを演じた吉行和子の演技力の見事さ。このばあちゃんを生きる人間の形としてスクリーンに甦らせることができるのはこの人しかいない。素直にそう思える説得力でした。

本作を読みながらも、ばあちゃんの姿を映画館のスクリーンに映し出された吉行和子の姿に重ねてしまう場面が多かったです。

映画を観て、本作を読んで、どちらも楽しめます。どちらか一方でも、もちろん、十分に面白いのですが、併せて観て読むことで、しっかりと相乗効果が感じられました。

さらに、続編も出ています。

島田 洋七
がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい!
島田 洋七
がばいばあちゃんの幸せのトランク