爽やかな青春群像劇です。


青森県むつ市。東京から長距離バスで時間、電車なら盛岡から新幹線を使っても時間のところにあります。そこで、不器用ながら真面目に精一杯生きようとする弟の良太、少年院に入れられて卒業が一根のくれたものの金持ちになることを夢見て東京へ向かう兄の達也。地元で働きながら専門学校に通って美容師を目指す達也の彼女、恵梨香。東京の高校に進学した俊介。中学卒業後、それぞれの道に進んだ4人は、それぞれの場所で、挫折を経験しながらも、大人になっていきます。一年がたつころ、地元でのど自慢大会が開かれることになり、町は色めき立ちます。人々は、それぞれの思いを込めた歌をのど自慢大会の舞台で歌うことを夢見ます。そんな中、良太は、卒業式で歌うことができなかった歌をもう一度4人で歌おうと他の3人に連絡を取り始めますが...。

思春期の苛立ち、空虚さ、先の見えない破壊的なエネルギー...。達也には、そんな青春時代の不のエネルギーが満ちていて、自分でもそれを持て余しています。その痛々しい危うさが達也を通して上手く表現されていたと思います。


ストーリーは、特に目新しいものではなく、先の展開が読めるようなものでした。


金持ちになろうと東京へ飛び出した達也は、ヤクザの世界に入りかけ、東京の高校へ進学した俊介は髪を染め...。「東京へ出た田舎者」の典型のような描写でしたし、田舎で地道に頑張っている者の「成功」を描いているのもあまりにこの手の作品の定石通りという感じもしました。


けれど、「のど自慢」や「歌」にかける人々の気持ちの熱さ、方言の響き(特に若い女の子が自分を指して「わい」と言うのはカワイかったです)が、この作品の独特の味を出していたと思います。東京から離れたむつ市という舞台を選んだことも良かったのでしょう。


東京に出て、夢破れ、ボロボロになっても、買えれば受け入れてくれるのが故郷というものでしょうか。東京で生まれ育った私にとっての故郷は東京と言うことになるのでしょうけれど、傷つき者を暖かく包み込むという土地柄でもないような感じがします。


東京から離れた故郷を持つというものもいいものだなぁと素直に思える作品ではありました。






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青いうた~のど自慢 青春編@映画生活