俳優、津川雅彦が、ともに映画界の重鎮である祖父、マキノ省三、叔父、マキノ雅弘のマキノ姓を継ぎ、映画監督として製作したデビュー作品です。


上方落語界の重鎮、笑満亭橋鶴の臨終から通夜、告別式のドンちゃん騒ぎ。シモネタ満載、爆笑エピソード満載の”通夜喜劇”です。通夜、告別式といった本来、厳粛な雰囲気の中で行われるべきことが、冒涜されているようにも見えますが、あの世へ旅立つ者への愛惜の気持ちもしっかり伝わってきて、所々でホロリとさせられます。


そして、その後に続く大事件...。




[以下、ネタバレあり]








橋鶴の通夜と葬儀の部分は、文句なしに面白かったです。テンポもよく、しみじみさせられたり、爆笑させられたり、ホロリとさせられたり...。特に橋鶴の「らくだ」という落語にあるエピソードを再現した「死人のカンカン踊り」は最高でした。


ただ、その後の二つの通夜は、少々、蛇足だったような...。後半部分は、やや冗長になってしまった感が否めません。前半が見事なできであっただけに、後半を見ているのが、少々、キツかったです。


型破りな通夜そのものの面白さ以外のところで、興味深かったのは、落語界の雰囲気とお座敷芸。


噺家の世界には、今でも、こんな雰囲気が残っているのでしょうか。師匠と弟子、その家族の関係が面白かったですし、通夜の場面で繰り広げられるいかにも「日本の大衆芸能」といった唄の数々には、逞しく生きる普通の人々のエネルギーのようなものが感じられて、興味深かったです。


それにしても、文部科学省がR-15指定の作品を推薦するというのも不思議な感じがしました。お堅いイメージのある文部科学省もオトナになってきたということでしょうか。





公式サイト

http://nezunoban.cocolog-nifty.com/main/

寝ずの番@映画生活