ちょっとフツ~でない人々が登場するカラフルな作品です。


高齢者用タクシーの運転手をしているクリスティーンは、顧客を連れて行ったショッピングモールで、靴店の店員、リチャードに恋をします。クリスティーンは、積極的にアプローチしますが、離婚したばかりのリチャードは恋に臆病になっています。リチャードの悩みは、出会い系サイトにはまる14歳と6歳の二人に息子。6歳のロビーは、チャットの相手と会う約束までしてしまいます。14歳のピーターは嫁入り道具をコレクションするクラスメートのシルヴィーと微妙な関係。同じ街に生活する11人の人たちが、それぞれ、孤独の中で、求めあい、惹かれあい、触れあう様子が描かれています。




[以下、ネタバレあり]








とても色彩が綺麗で、カラフルな印象の映像ですが、結構、残酷な描写もあります。リチャードが自分の手に火をつけてしまったり、車の屋根に置き忘れられた金魚が走行中に道路に落ちたり...。猥雑な場面もあります。主人公や登場人物も、ジメッとしていたり、変態ぽかったり、意地悪だったり...。綺麗事ではない、人間の奥底にある闇を実に軽やかに、けれど、鋭く抉っています。


それぞれ、欠点も持ち、へんな部分もありながら、どこかで、人との繋がりを求め、人との触れあいの中で救われていく。作品全体のふんわりとした空気が、登場人物を暖かく包み込みます。


人間の暗部に目を背けることなく、これだけ柔らかい雰囲気を作れるのは、制作者のウデなのかもしれません。






公式サイト

http://www.kimiboku.jp/



君とボクの虹色の世界@映画生活