県庁の星

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野村聡(織田裕二)は、県庁のエリート意識も強く上昇意識丸出しのキャリア公務員。「特別養護老人施設建設」の企画を提出し、それを足がかりに出世を狙っています。そのプロジェクトを前に、県が打ち出した「人事交流研修」のメンバーに選出され、スーパー「満天堂」に送り出されます。スーパーで、野村の教育係となったのは、パート店員の二宮あき(柴咲コウ)。書類第一主義で融通の利かない野村とお客様第一で現場主義の二宮は事あるごとにぶつかります。そんな中、スーパーの中でも県庁の中で居場所を失っていく野村も、店舗の管理・運営が上手くいっていないスーパー「満天堂」も危機を迎え...。


エリートのお役人の挫折と再生の物語です。自分が馴染んでいたものとは全く違った環境に飛び込み、その中で、それまでの常識が通じず、挫折する。けれど、それまで上手く関係を築けなかった周囲の協力も得て、再び、立ち上がる...。基本路線は、ごくオーソドックスな展開です。野村のステレオタイプなお役人ぶりも、面白かったです。


そして、「役所=悪」、「民間=善」という単純な善悪二元論になっていないところ、あっさりとハッピーエンドにならないところも、良かったです。


最初は、ぶつかり合い、反発しあっていたけれど、徐々に、相手を認め合い、お互いの良い面を活かしながら協力し合っていく。それぞれが、徐々に相手を受け入れ、少しずつ変化していく過程が丁寧に描かれていました。


人は、チャンスがあれば、大きく変わることもできる。大きく成長することもできる。


一方、なかなか変わることのできない硬直化した組織もある。けれど、少しずつ、変わっていくことができる。小さな変化を繰り返しているうちに、良い方向に向かっていくこともできるかもしれない。


人の限界を感じさせられながらも、希望を持てるラストになっていて、諦めないことの大切さを実感させられます。非現実的な夢を追うのではなく、厳しい現実を理解しながらも、夢の実現を諦めず真摯に取り組むことの大切さが感じられます。


必ずしも、映画館のスクリーンで観るべき作品ではないかもしれません。DVDでも十分かもしれません。けれど、なかなか上手くまとまったドラマにはなっていると思います。少し軽めの楽しめる作品です。




[以下、ネタバレあり]








スーパーに来ても、最初は、いろいろな場面で、県庁の人間であることを主張していた野村が、段々、スーパーに馴染んでいき、やがては、スーパーの制服を着て県庁に行ってしまったりもします。野村の心情の変化が、上手く表現されていました。その辺りは、丁寧に作られていたと思います。


ラスト、野村の精魂込めたプロジェクトの予算削減の提案は、一旦は、知事に認められるものの、野村自身の予想通り、結果的には、無視されます。一度は、野村の提案を取り上げようとしたタレント出身の知事(酒井和歌子)は、老練な県議会議長(石坂浩二)に丸め込まれてしまうのです。この辺りの石坂浩二の悪代官的な役割が適役という感じで印象的でした。役所の古い体質の堅牢さが見事に表現されていました。


そして、「県民の税金」を使って、県職員が休憩室で飲んでいた、かなり本格的な機械を使って淹れているエスプレッソ。最初は、無料だったのが、ラストでは「一杯100円」に。小さな小さな変化ですが、古くて強固な組織でも、変化が起こりうるのだと、一筋の光を見せてくれます。





公式HP

http://kaikaku-movie.jp/



県庁の星@映画生活
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