桜沢エリカの漫画「天使」、「天使の巣」を映画化した作品です。


恋に臆病なコンビニの店員、カトウ(内田朝陽)、恋人(永作博美)と子どもとの間で揺れ動くシングルファーザーの吉川(永瀬正敏)などが暮らす東京のある街に、ある日、天使(深田恭子)が舞い降ります。ジンライムが大好物という風変わりな天使は、いつしか、人々の心をじんわりとあたためていき...。


特に意外性のあるストーリーでもなく、大きな事件が起こるでもなく、ドラマチックな展開があるわけでもなく、”天使”という言葉からイメージされるほどファンタジックな感じの作品でもありませんでした。些細な日常を丁寧に描いた、どちらかというとこじんまりとまとまった雰囲気の作品でした。


一見、何もないような日常の中にも、いろいろと大事なものが隠されていること、そして、慌しい日常の中で少し立ち止まって、その大事なものに向き合うことが大切なのだということを見せてくれます。マンネリな日常生活に物足りなさを感じたり、日々の生活の中に感動を見出せなくなった時、こんな作品を観ると、また、新しい気持ちでいつもの生活に戻れる、そんな作品なのだろうと思います。


わざわざ映画館で観るべき作品かどうかということになると、少々、疑問もあります。TVドラマでも十分に見られる作品として成立しえたかなぁと...。それでも、2時間弱、小さな幸せを感じられる時間となったことは間違いありません。


深田恭子演じる天使は、地上に舞い降りてきてはきたものの、基本的には、何をするでもなく、ただ見守るだけ。そして、そんな天使の存在を見ることができる人もいれば、見ることも感じることもできない人もます。天使を見るのは、「天使を必要としている人」というセリフも出てきますが、天使は、必要としている人に何かを与えてくれます。


やる気があるのだか無いのだかわからないような、ちょっと浮世離れした感じで、そして、何故か、周囲をほんわかとした気分にしてくれる、そんな天使に、深田恭子の醸し出す雰囲気がぴったりと合ってました。


そして、子役の森迫永依の演技が見事。森迫永依の演技と深田恭子の微妙な雰囲気は、この作品の見所と言えるでしょう。



公式HP

http://www.tenshi.bz



天使@映画生活