カウルフラップと燃料ポンプ とプロペラについて | ヒルズボローアビエーションの教官と試験官

カウルフラップと燃料ポンプ とプロペラについて

こんにちは、前回 カウルフラップのお話をしたのですが、
昨日、Cylinder Head Temperature (シリンダー ヘッド 温度計)の
写真を撮りましたので、お見せします。



     
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このゲージを見て、カウル フラップを開けたり、閉めたりするのが、エンジンに良いのでは、と思います。

あまり、難しく考えないで、エンジンも私達も、暑い時は、服を脱ぎますし、寒いときは、コートを着て、チャックを閉めます。 冬に寒くても、これからマラソンをするのでしたら、暑くなるのを予期して、コートなど着ません。

それと同じように、Cylinder Head Temperatureの温度が350度以上だったり、そうなる予期が出来る時には、カウルフラップを空けておいて、350度以下でしたら、またそうなる予想が出来る時(パワーを下げるときなど)は、カウルフラップを閉めます。


 


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前回の問題の燃料パンプをいつ、ONにするかという問題です。



セスナのパイロットには、あまりピントこないと思います。
なぜなら、セスナのような高翼機は、燃料がタンクからエンジンには、重力で流れていきますので,パンプは、必要ないからです。

でも、低翼機には、燃料ポンプが必要になります。

パイパーセミノールの場合には、前にお話をした通り、エレクトリック パンプとエンジンドリブン パンプの2つがそれぞれのエンジンに付いています。通常は、エンジンドリブン パンプだけで十分です。

どのような時にエレクトリック パンプを使うかというと次の2つの場合です。
1.Back Up (エンジンドリブンパンプの補助)
2.Engine Start


1のBack Upの理由は、以前 セスナ310にしてもパイパーの機体にしても、エンジンドリブン パンプが壊れた事がよくありました。ですから、重要な時には、必ず、BackUpさせる事が、パイパー社で決めました。
その重要な時とは、
離陸、着陸(ゴーラウンドにも備えて)、シングル エンジンコンデションになった時などです。

だったら、エレクトリック パンプをつけっぱなしでも良いのでは、と言う意見が出てきます。その通りです。つけっぱなしでも良いのですが、それですとエレクトリック パンプの消耗が早くなるので、必要ないときはOFFにする事を薦めています。

2のエンジンスタートは、エンジンがスタートしていない時は、エンジンドリブン パンプが作動していないので、エレクトリック パンプをONにして、Fuel Pressueを大きくします。エンジンがキャブレーターでプライマーがあるので、プライマーを使うことでエンジンはかかりますがエンジンがかかってから、エンジンドリブンパンプが作動するまでにすこし時間があるので、その間を考えても、Fuel Pressueを十分に与えておいた方がよいので、エンジンスタート前には、必ずエレクトリック パンプをONにします。


もうひとつの質問で、セスナ172などのプロペラの角度は変わらないのに、どうして、セミノールなど大きい機体のプロペラの角度は変わるかという質問です。

それは、きれいに答えてあった人もいましたけれども、推進力増加のためです。

プロペラが、エアーをかいて、推進力をつけています。たくさん空気をかく(角度が大きい)のは、エンジンにとってもきついです。逆に空気を小さくしかかかない(角度が小さい)のは、エンジンにとって,らくです。ですけれども、推進力が小さいです。

皆様、自転車に乗りますよね。10段ギアの自転車(プロペラ角度が変わるもの)とギアが変わらない自転車(プロペラの角度が変わらないもの)を想像してください。

皆さんが10段ギアの自転車を使って、、坂を上る時は、きついので、ギアーを軽くすると思います。(これが、プロペラの角度を小さくする事) そうしますと、あまり速く走りませんけれども、ペダルが速く回りやすくなると思います。体の負担もすこし減ると思います。
そして、平たんになりましたら、ギアーを重くして、ペダルをゆっくり回しても速くすすむと思います。(プロペラの角度を大きくしている状態)

飛行機もこの自転車と似ているもので、引力に逆らい上昇するのは、きついです。ですから、プロペラの角度を小さくして、回転を早くして、上昇していきます。 そして、水平飛行では、プロペラの角度を大きくして、ゆっくりと回しても、推進力を増加し、燃費を上げる事も可能です。


このことも、考えて、プロペラの角度を変えていただければ、より有効に機体の性能を発揮できると思います。