精神(診療)外科的役割〜身体醜形障害や異物除去の治療を行うにあたり〜
美容外科診療を11年以上続けていると、
診察した患者様の中には身体醜形障害による強迫症状や
過去の整形に対するトラウマなどによって、
心が傷ついている方がいらっしゃいます。
特に小さな傷跡を悩み、毎日その傷に対し鏡をみたり、
何度もその症状についてネット検索をされる身体醜形障害の患者様や、
他院でアクアミドや自分の脂肪、最近では自分の血液を混ぜたPRPなどを注入され、
後悔されている患者様です。
私はその傷や注入物に対してただ機械的に修正手術を行うのではなく、
その患者様の精神面までケアする必要があると考えています。
つまり私は美容外科医ですが、
精神(診療内)科の役割も必要になると考えています。
そう・・・美容外科+精神(診療内)科=精神(診療)外科的役割です。
この分野はまだまだ確立されているわけでありません。
というのも日本の医療現場では、
患者様とのカウンセリングの時間をゆっくりとれない現状があります。
また他院で治療され修正を希望される患者様と話していると、
意外かもしれませんが、
医師からリスクを説明されていない患者様が結構いらっしゃいます。
利益が優先となりリスクを説明しない医師が増えているようなんです。
患者様は「キレイになれるんだ」
・・・と大きな期待を膨らませ施術を受けられるわけですから、
それが裏切られた時のことを考えると、
相当な精神的負担や苦痛を強いられることが考えられます。
今後はこのような患者様を受け入れられる施設を増やしたり、
そもそもこのような患者様を増やさないようにしないといけません。
以前からこのブログでも発信していますが、
美容外科手術を行うことで、
身体醜形障害の患者様の症状を改善したり、
あるいは注入された異物を除去することで精神的苦痛を和らげることに尽力しつつ、
同時にDSM−5分類を参考にしながら、
学会発表や論文を書くことで、
同業の医師に知ってもらおうと活動しています。
しかしまだまだ時間がかかりそうです。
孤軍奮闘ですね・・・
美容外科と精神(診療内)科とは別な分野なようで、
実は深く結びついています。
今後とも・・・
この分野を論文や学会発表等で広げて行く必要があると考えています。
さらにカウンセリング時間を十分に確保し、
患者様とゆっくり向き合う必要もあるのではないかと思っています。
丸山成一