腫瘍切除後の再建
形成外科医は、
皮膚に出来た腫瘍を、
良いものなのか、それとも悪いものなのかを見抜かないといけません。
さらにその腫瘍が悪いものであれば、
再発がないように大きくとって、
その取った場所を綺麗に再建しなければいけません。
今回は、数年前に、
他院で同部位にできた腫瘍を切り取ったが、
それが再発し、
最近急にどんどん大きくなり、また出血もするという患者様です。
再発、急に大きく、出血、
・・・ということから、
悪性のものを疑わないといけません。
このような場合は、レーザー治療は選択せず、
腫瘍の周りに悪い細胞が散らばっていることも想定し、
少し大きめに切り取って、再建しないといけません。
今回のデザインは、
デザインは、出来るだけ再建後のキズ跡のことを考え、
小鼻の横の溝やほうれい線に沿ったデザインしました。
ここからは再建の過程を実際の写真でお見せします。
悪性腫瘍を取り除き、大きな欠損ができています。
患者様には皮膚にかなりの余裕があるため、
回転皮弁という手法を使って、再建します。右はその皮弁を作成したところです。
皮弁をソフトにつかみ、
回転させながら欠損部をカバーします。
右は縫合した直後です。
取った腫瘍を病理検査に提出したところ、
やはり悪性の腫瘍で基底細胞癌というものでした。
断端(だんたん);腫瘍が取り切れているかどうかですが、
陰性(取り切れているということ)でしたね!良かったです!
このような手術は、
取って終わり!悪い物だから仕方ない!
・・・なんていうのは古い考えで、
その後の再建も丁寧に綺麗に行わないといけません。
取ったはいいが、
目がアカンベー変形を起こしたり、
口が引きつれて閉じなくなったりするのは良くありません。
では・・・
施術後1ヶ月の状態をみてみましょう!
特に変形もなく、キズも小鼻の溝、ほうれい線に沿っていますね。
良好な経過です。
それでは術前、術後を並べてみてみましょう。
→
綺麗に再建できていますね。
キズの赤みは、時間をかけてひいていきます。
今後も経過を追っていきましょう。
形成外科医はこのような手術も行っているのですよ。
丸山成一
※before & afterの画像についてのご注意
写真はあくまで参考画像であり、症例により効果や満足度は異なりますのでご了承下さい。
※リスク・副作用・合併症
内出血、腫脹、傷の哆開(しかい;傷が開く)、糸が出てくる(埋没縫合した糸がでてくることがある)、縫合糸膿瘍、テープ(傷の安静をはかるためのテープ固定)かぶれ、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷跡の両端が盛り上がる)、傷の肥厚・陥凹、修正前より目立つ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。