腕のタトゥー治療①
今回は腕の刺青(タトゥー)治療のお話です。
このブログでも何回かご紹介したタトゥーの治療。
最初は軽い気持ちで、
お洒落の一環としてタトゥーを入れる方が多いようですが、
一度入れると自然には取れません。
就職活動、
公共施設への立ち入り、
結婚など、
生活していくうえで支障を来すことが多いことも事実です。
だから後悔する前にもう一度よく考えて下さいね。
今回の患者様は就職のために左腕に入れたタトゥーを除去してほしいとのことでした。
タトゥーを取る場合、
当院ではQスイッチルビーレーザーと手術による治療を選択していただいています。
両者ともメリット、デメリットがありますが、
簡単に言えば、
レーザーは数回かかりますが、傷にはなりません。
一方で手術は小さいものであれば、
一度で取ることができますが、傷ができます。
そのことを事前に患者様にしっかり説明する必要があります。
今回、患者様は手術を選択されました。
もちろん・・・
手術は傷をつけることになるのですが、
その切除の仕方、方向など様々な角度からアプローチして、
傷を出来るだけ目立たなくする方法で行う必要があります。
では・・・症例を供覧しましょう。
左上腕外側のタトゥーですね。
これをただ単純に縫うと、とても傷が長くなります。
以前にも説明しましたが、
このような腕・・・つまり腕は円柱の形態をしていますね。。。
このような平面ではなく、
立体かつ曲面になっている場合は、
デザインをしっかり考えて行わないといけません。
もちろん形成外科医は出来るだけ縫い上がりの傷が、
下の写真のように最小限度になるようにデザインします。
しかし、
このようにデザインして、そのまま縫うわけではありません。
では、
そのまま縫うとどうなるか!?
同じ曲面をしたボールを使ってみてみましょう!
丸く切ったあと、欠損ができましたね。
おそらく今回の症例もタトゥーを取ると
ボールのような欠損になります。
では縫ってみましょう!
横から見るとよくわかりますが、
縫った傷の両側が盛り上がり、
犬の耳のような形になっています。これを我々はdogearと呼んでいます。
とても不格好になります。
結果的にこの犬の耳の部分も修正しないといけなくなりますので、
更に傷が長くなるのです。
またこれもとても重要なことですが、
腕を実際につまんでみるとよくわかりますが、
腕の外側は内側に比べ、皮膚の余りも少なく、
縫い寄せる方向によっては、全然皮膚が寄ってこない場合もあるのです。
そう!縫えない!!!・・・というような事態が起こりかねません。
もちろん無理矢理縫ってしまうと、
腕に血圧計を巻いて縛ってしまうような状態になり、
しびれや血流障害などを引き起こしてしまいます。
従って、
切ってしまってからでは遅いですので、
腕をいろんな方向でつまんでみて、
シミュレーションすることが大事ですね。
次回は実際のデザインから縫合までをご説明します。
丸山成一
参考までに・・・
『どうして丸い欠損を縫うと、その傷は長くなるの?』 は>>>こちら