夏休みに行った時計旋盤ゼミのレポートです。
毎年、夏休み中に行っている時計旋盤ゼミ。
今年は20名の1年生が申し込みをしてくれて、8月下旬に実施となりました。
昨年のゼミでは、素材に真鍮を使い、時計用精密ドライバーを製作しましたが、
今回は、炭素鋼(※1)を使って機械式時計の中に使われている、
穴石(※2)を微調整する為に使用する道具の駒を製作しました。
(※1)炭素鋼=いわゆる鋼のこと。1.7%以下の炭素を含む鉄で、焼き入れにより固さの調整ができる。
(※2)穴石(あないし)=歯車などの軸受け、人工ルビーや硬い金属でできている。専用工具で動かして、遊びの調整を行う。
真鍮よりも硬い炭素鋼をバイトと呼ばれる刃物を使って加工していきますが、
まだ授業の中では柔らかい素材でしか加工経験がない1年生は大苦戦。
それでも悪戦苦闘しながら、頑張って作業をしてくれました。
時計旋盤作業だけでなく、ゼミの日程最終日には、アルミに着色する陽極酸化皮膜処理(アルマイト加工)もおこないました。
アルマイト加工はアルミニウムの表面を電解処理して、人工的な酸化皮膜を作る作業なので、
ちょっとした化学実験のようです。
アルマイト加工が終わると、こんな感じに着色されます。
色が着いて綺麗になるだけではなく、表面が硬くなり耐久性も上がります。
このアルミパイプにアクリル樹脂を加工したパーツを取り付け、
時計の針をセットする道具”剣入れ”が完成します。
4日間かけて、穴石調整用の駒が完成!
完成した駒は、黒檀に穴を開けて作った、専用木台にセット!
市販品に劣らない立派な自作工具の完成です!
1年生には、4日間で行うという難しい課題でしたが、
参加した学生は何とか時間内に形にすることができました。
今回のゼミで作った工具を、是非、授業や今後のために役立ててほしいと思います。