ローラーガールズ・ダイアリー | h

h

h



今年37本目の映画。「ローラーガールズ・ダイアリー」。
アメリカはテキサス州の田舎町に住む女子高生ブリス。
保守的な母親にお堅い人生を歩まされようとしていたが
ある日出会ったRoller Derbyに心奪われ、飛び込んでいく。
才能を開花させ、間もなくチームの花形へと上り詰めるが
Roller Derbyの世界は、母親の希望とは正反対。
どんな世界かって言うと、、、
チームメイトの一人をドリュー・バリモアが演じてるんだけど
その性格はチャーリーズ・エンジェル での彼女の役に近い。
ヤンチャでロックで血の気の多いディラン。
でも本作でディランっぽいのは彼女だけじゃなくって
一言で言うとDerbyの選手ほぼ全員ディラン。そんな世界。
娘をしとやかな女性に育てようとしている母親が許すわけない。
だからブリスは家族に内緒でRoller Derbyを続けるのだが・・・。

主演のエレン・ペイジが、ハマりにハマってた。
うぶで大人しい田舎娘を地でいけるような顔してるけど
内に秘めた芯の強さが見えるのも、やはり地のものだと思える。
音楽の趣味は往年のロックで、好みのファッションもそっち傾向
というのも、勝手な想像だがエレン・ペイジっぽい。
クレイジーなDerby仲間と交流を深めていくにつれ
悪態ついたり、挑発的な発言をしたり、中指立てたり。
それもまた、ハマってるんだ。
親の敷いたレールに疑問を抱きつつも
その言いなりになるばかりの子どもだった彼女が
自身の目標を見つけ突き進む中で、大人へと成長する。
強い大人へと、強い大人の女性へと、変化していく。
さすがの演技力でその過程を見せるエレン・ペイジ。
まだまだ若いし、童顔で実年齢よりずっと子どもに見えるけど
間違いなく、実力派女優といえる人だと思う。
ライバル役ジュリエット・ルイスは、非常にかっこよかった。
近年はJuliette & the Licks での活動しか知らんかったが
あのバンドでのキレっぷりをそのまま持ってきたような役柄で。
ハードなジュリエット姐さん、とても良かった。
でも36歳が17歳をいじめちゃーいけんな。

本作の監督はドリュー・バリモア。女優として活動する傍ら
これまでも製作者として映画に関わってきた彼女だが
メガホンをとったのは本作が初めて。これが監督デビュー。
初監督でこの出来は、大成功と言えるのではないだろうか。
まず、監督自身の役も含め、配役がイイ。
前述のエレン・ペイジもジュリエット・ルイスも
持ち味を存分に生かした役になってたと思う。
スポーツを通して少女の成長と自立を描くという物語は
云わば王道で、ありがちなものなんだけど
それをありがちな風に見せなかったのも監督の手腕。
各パートでの演出が光ってた。
恋愛パートでは胸キュンキュン、家族パートでは涙、
試合パートはとってもエキサイティングだった。
同級生との友情パートも良かったし
チームメイトやライバルとのスポ根パートも良かった。
やばいくらい全て全て全てツボってしまって
ドリュー・バリモア監督すげえ!と思わざるを得なかった。
子役でデビューして以来ずっとあっち側に生きてる人だから
一般人的感覚なんて持ち合わせてなさそうなのに
こんなに一般人にツボる映画を製作できてしまうだなんて。
ちょっと丁寧じゃないかなぁ、描き切ってないかなぁ、
と思える部分も見受けられたけれど
物語の端々まで細かく追って広く長くなるよりも
端折るとこ端折って、ブレずダレずテンポよく
すっきりきれいに纏められてるのは良いかなと。
キュンキュンでワクワクで、笑って泣けて元気出る。
試合シーンはエンタテインメント性が高く
そこだけ取り上げたとしても見応え充分なクオリティ。
楽しい。とても楽しい。好きだ。とても好きだ。
存分に堪能したはずなのに、既にもう一度観たくなってる。

ところで、映画の主題であるRoller Derbyというスポーツ。
これについては初耳だった。見た事も聞いた事もなかった。
若干アンダーグラウンドながら存在自体は広く知られてて
特定層には大人気、大盛況、大熱狂のスポーツ。
という印象を映画からは得たけど
 Q. 本当にあんなに人気なのか?
 A. けっこうな人気っぽい。
ちょっと調べてみたら、協会のページに行き着いた。
WFTDA(Women's Flat Track Derby Association)
下位リーグも含めると山ほどのチームがある。
こんなにまで普及してるとは驚き。
でも、分かるなあ。可愛いし、かっこいいもん。
スポーツとファッションとパンク精神の融合。
各チームの写真を見てるだけでもかなり楽しめる。
 Q. 本物の選手も、映画みたいな衣装?
 A. そのとおり。
ファッショナブルにスポーティーなのが基本形のようだが
こりゃあやりすぎだろってチームも多々ある。
試合中はもっと動きやすい格好なのかも知れんけど。
PR写真とはいえ最早スケートすら履いてなかったりして
写真見ただけでは何の集まりか分からんようなのもある。
色んなテイストのチームがあって、見るほどに面白い。
Nutcrackers  Knockouts  The Surly Gurlies Roster
Lone Star Assassins  Bombshell Brigade
The pistol whippers  G-Rap Attack!  Grave Danger
Botoxic Avengers  New skids on the Block

映画の中では、わざわざ指摘されていなかったけれど
選手達のDerby nameは有名人の名前をもじったのが多かった。
ベイブ・ルースレス ← ベイブ・ルース
スマッシュリー・シンプソン ← アシュリー・シンプソン
ブラッディ・ホリー ← バディ・ホリー?
アイアン・メイビン ← アイアン・メイデン
 Q. 実際の選手もそんな名前?
 A. 概ね。本名使ってる人は少ないようだ。
もじり系では、Ballista Blockheartさん、Yoko OhNo!さん、
Erin Breakabitchさん、Jabba the Buttさん 等を確認。
オリジナルだと無限のバリエーションがあって
でも英語名なので自分には分かりにくいのが殆どだが
目に付いたのは、Sushi-Roll さんや Chinese Take-Outさん、
Fat Ass Bitch なんて人も。。。
写真からキャラ設定あるらしい事が見える人もいる。
Princess America さんとか、LaVoodooさん とか。
コーチやレフェリー、アナウンサーまでDerby nameだったり
キャラついてたりして、プロレスみたいだなーって思った。
機会があれば是非とも本物の試合を生で観戦してみたいが
 Q. 試合は本当にあんなに激しい?
 A. 激しい。
これについてはYouTubeで実際の試合を探してみた。
激しかった。  かなり激しかった。


ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]
Whip It
Whip It