プルートで朝食を | h

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今年、劇場で見た20本目は「プルートで朝食を 」。

舞台は70年代イギリス。

当時の音楽とファッションに彩られてる。
特に服はとってもカワイイ。
体に張り付くようなラインのシャツや
すごく幅広なベルボトム。
色合いも柄もレトロで素敵。

主人公はゲイのキトゥン。女装の青年だ。
子供の頃から女装に興味を持っていて
高校くらいから磨きがかかっていくんだけど
その変遷をしっかり出してるのがエライ。
高校のときはダークな髪色で
ナチュラルなアイメイクとマニキュアくらいなのが
成長と共に装いが女らしくなっていく。
眉は細くなり、アイメイクばっちり。マスカラは濃く長く。
肌をきれいに作って口紅しっかり。
髪の毛は長髪のブロンドに、服もより女らしくして
最終的には声と骨格以外、女そのもの。
もともとキレイな瞳の人で
目はホントに魅力的だったー。
キャメロン・ディアスみたいな薄い青色の瞳。
吸い込まれそうな美しさがあった。
しかし何より凄いのは、かなりヒゲ濃そうなのに
どんだけ時間経ってもツルツルのままってことだ。
撮影のとき、こまめに剃ったんだろうなー。
物腰なんかも努力したと思う。

とまあ、ここまでが良かったとこ。
それ以外は、あまり満足できない作品だった。
何もかもが中途半端。
良かったとことして挙げた音楽やファッションも
いまひとつパンチが弱かったように思う。
ストーリーはというと、これまたハッキリしていなくて
動きが少なくなると退屈してきちゃう。
バンドのオッサンとの恋愛とか
ところどころコミカルな部分はあるんだけど
笑えるってほどでもなく、かといって泣ける場面もない。
IRAも絡んでくるんだけど、それも半端。
母親探しの顛末も、ちょっと・・・。
細かく章を区切ってあるのも、鳥が会話するのも
効果的な演出とは思えない。ウザイだけ。
遊びきれてない。ハジケきれてない。

実は見る前から微妙そうだと思っていたんだけど
監督(クワイ=ガン・ジン やってたニール・ジョーダン)が
キャンディード 風を意識して作ったと知って
それで見に行ったんだ。キャンディード、好きだから。

確かにキャンディード風と言えなくもない。
色んなとこで災難にあいつつも頑張るキトゥンは
よく言えば前向き、悪く言えば夢見がちで
キャンディードと被るところがある。

書いてて気づいたけど
こないだ見た松子 も、キャンディード的だったかもな
・・・・て、ああっ!
「プルートに朝食を」と「嫌われ松子の一生」、似てるわ!
主人公は家庭に不満を持って家出して
色んなとこで男と知り合っては酷い目にあったり

警察に逮捕されて拘置所に入ったり
やってることもバンドのボーカル、着ぐるみの中の人、
マジシャンの助手、娼婦(男娼?)、のぞき小屋ギャル、
とコロコロ変わってく。
ほか、テロに巻き込まれたり住処を放火されたりと
災難に見舞われるし。。。
エンディングは松子と違ってハッピーだけど
作品の出来としては、全てにおいて松子が上。
音や色の鮮やかさも、泣きも、笑いも、松子に劣るな。。。




プルートで朝食を
「プルートで朝食を」オリジナル・サウンドトラック