なんと、村上春樹氏の講演会が4月10日にハワイ大学で開催されました!
日本のメディアなどでは全然告知されていなかったのですが、
友人が教えてくれました。
6:30pm会場だったので、6pmくらいに行ったらこんな感じでした。
次々に人が集まってきます。
右に貼ってあるのが告知チラシ。
タイトルは
「What I talk about when I talk about writing」
「書くことについて語るときに僕が語ること」
です。
村上春樹ってものすごく人気があるんですよ。
日本の現代作家と言えばこの人!という感じ。
私も友人に頼まれて英訳本を買ったことがあります。
ラジオで村上春樹の短編の朗読を聞いたこともあるし、
アメリカでは今一番有名な日本人作家なのではないでしょうか。
会場は満席の上、立ち見の人も。
たぶん700人以上集まったんじゃないかな。
早く行ってよかった。
日本人も学生さんもたくさんいます。
男女比は、やや女子が多め。
若い人が多いけど、シニアもいます。
講演というか、朗読会でした。
最初に少し挨拶をしてから朗読という構成。
村上氏が話をするのを初めて聞いたので、
なんだか不思議な感じでした。
だって声を聞いたことがないんだもの。
しかも喋りは英語。
英語で講演するのに慣れているようで、
ジョークがバンバン出てきて皆喜んでいました。
「今日は最新作の「1Q84」を最初から最後まで全部朗読します」
という言葉に会場爆笑でした。
1983年に初めてホノルルマラソンを走り、
去年も走っていたんだって!
えー知らなかったよ~。
私、ゴールで取材してたんですけど・・・。
6年前にもハワイ大学で講演をしていたそうな。
ちょくちょくハワイに来ているみたいです。
朗読したのは
「鏡」と「とんがり焼きの盛衰」の2作。
両方ともかなり前に書かれた短編です。
とんがり焼きは "sharpy cake"と翻訳されていました。
「とんがり」はシャープなエッジがあることで、
「焼き」はbakeのことと本人解説。
英語にするとまったく別のものみたいですね。
朗読は、とっても上手でした、びっくり。
読み慣れているようで、カッコよかったですよ。
村上氏が日本語で少し読み、英語担当が翻訳を読むという形で進行しました。
ノルウェイで同じことをやったときは、
村上氏はノルウェイ語が分からず、先方は日本語が分からないので、
2人で全然別の場所を読んでいたんだって。アハハ。(と会場笑)
私がこの2作を読んだのは高校生のときだから、
20年以上前・・・。
懐かしいなあ。
「鏡」はちょっと怖くて不思議なお話。
私はこの物語とほとんど同じお話を高校の先生から聞いたことがあるのです。
驚いて、先生にこの物語を読んだことがあるか尋ねたところ、
村上春樹という作家さえ知らなかったのです。
ノルウェイの森が出版される前だったので、
まだそんなに有名じゃなかったんですよね。
いや~びっくらしたよ。
なかなか面白いので興味がある方は読んでみてくだされ。
久しぶりに聞いて、ああ、この人は今も同じ流れで書いているのだなあと思ったよ。
とんがり焼きはコメディ&サタイアと本人が解説。
かなりウケてました。
うちの夫も笑っておりました。
古今和歌集~。
朗読の後は質問コーナー。
アメリカ人はこういう時にどんどん手を挙げて質問する。
でも面白い質問ってあんまりなかった。
友人は、
「みんな質問ってものができない。単に自分の意見を述べているだけだ。
この状況をムラカミが書けばいいのに」
と言っていた。
ひとつだけ興味深い質問が、
「書いている時も声に出して朗読するのですか?」
というもの。
答えはYES。
推敲して、4稿・5稿目の仕上げの段階で、
声を出して読んでいるそうです。
なるほど、だから朗読が上手いのね。
サウンドを重視しているから文章が読みやすいのですね。
納得。
短い講演の後はサイン会。
本の販売はなく、村上本を持ってきた方にサインをするという形式。
これがもう、ものすごい長蛇の列。
悩んだけれど、私は帰りました。
だってあれって何百人もいたよ。
全部で何時間かかるんだろうか。
本を売らないけどサインをするなんて気前がいいですよね。
日本でやったら大変なことになってしまうからできないのかもしれない。
観客は様々な英訳本を抱えていました。
「ノルウェイの森」
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
「海辺のカフカ」
あたりが特に人気?
日本語版を持ってきている人もたくさんいました。
実はインタビューを申し込んでいたんだけど、
めぐりめぐって駄目だった。
本人には話が伝わっていなかったかもしれない。
まあ、ハワイにしょっちゅう来ているならいつか機会があるかも。
いつかインタビューしてみたいです。
というわけで、村上春樹氏イベントレポートでした。