「死霊のはらわた」 | 土方美雄の日々これ・・・

「死霊のはらわた」

この映画は、サム・ライミが30年以上も前につくった、彼の出世作にして、ホラー映画史上に、今もなお燦然と輝く大傑作「死霊のはらわた」のリメイクではあるが、サム・ライミ自身が脚本を書き、そして、そのサム・ライミと、彼の盟友にして、オリジナル版「死霊のはらわた」の主人公を演じたブルース・キャンベルとが、共にプロデューサーとして、名を連ねている。つまり、監督こそは、新鋭のフェデ・アルバレスであるが、ほぼオリジナル・スタッフによるリメイクであるといって、決して、過言ではない。

だから、あまり文句はつけにくいのだが、私としてはオリジナル版に、軍配をあげたいと思う。

では、どこが違うのか???

まず、おバカな若者5人が、バカンス(セックス・パーティ???)を楽しむため、レンタルした森の奥の山小屋に行き、そこで、よせばいいのに、その地下室に置いてあった「死者の書」の呪文を、遊び半分で唱えてしまい、死霊が蘇って、さぁ、大変・・という、オリジナル版のチープな筋立てが、今回は同じ若者5人組でも、彼らは主人公のデビッドの妹ミアの、ドラッグ依存症を治療するため、山小屋に集まったという設定になっており、つまり、物語はその冒頭から、徹頭徹尾、シリアスであるということだ。

そのシリアスさは、最後の最後まで続き、オリジナル版では、死霊に取り憑かれた人物は、まるで戯画のような、人間とは似ても似つかない姿へと変貌するが、リメイク版では元の人間とあまり大きな変化は生じない。つまり、もはや人間ではない何者かに変貌してしまった死霊を相手にした戦いでは、たとえ、手足や首を切断しても、それほど痛さや残酷さを感じないが、今回はそうではない。その、後味の悪さが、リメイク版の方が、むしろオリジナル版に比べて、残酷表現は控えめなのに、十分に、心にグサリと突き刺さり、えぐるのである。

要は、オリジナル版には見え隠れした、サム・ライミのお遊び精神が、リメイク版にはまったく、欠落しているのである。もちろん、それがいいとか、悪いとかいうのではなく、観る者の好みの問題であろう。

よりシリアスに・・というのは、やはり、リメイク版の「ハロウィーン」や、新バットマン3部作などにも、共通の傾向だが、シリアスにつくれば面白いのかどうかは、また、別の問題である。

私は、前述の通り、オリジナル版に軍配をあげたが、それはオリジナル版への、所詮、郷愁か何かなのかも???ですが、それでも、やはり、オリジナル版の方が、私には面白かったです。ハイ。

まぁ、残酷なホラーを、面白いといいきっちゃっていいのかという批判は、甘んじて、受けませう。