「アントニオ・ロペス展」 | 土方美雄の日々これ・・・

「アントニオ・ロペス展」

一昨日、下北で人と会う約束があったので、少し、早めに家を出て、井の頭線の始発駅である渋谷で、現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「アントニオ・ロペス展」を観た。

アントニオ・ロペスは現代スペイン美術を代表する巨匠とのことだが、日本で大規模な個展が開かれるのは、これがはじめてのこと。リアリズムの画家といわれているが、いわゆる、単なるリアリズム(写実主義)とは、少し、違う。

たとえば、「食器棚」や「室内の人物」と題する絵では、彼の妻マリアの上半身が、画面に浮かんでいたりする。だからといって、シュールリアリズムとも、違う。何と、表現したらよいのか、う~ん。

圧巻なのは、マドリードの市街を描いた、一連の大作。市街のリアルな表現はさることながら、街に人がひとりもおらず、車も走っていない。まるで、死の世界。その凍てついたような静寂さに、思わず、身震いがした。

その他、兎に角、引き出しの多い画家であり、彫刻家だ。作品に、どこか、無常観が漂うのも、日本人受けするのでは・・。