「猿の惑星 創世記」 | 土方美雄の日々これ・・・

「猿の惑星 創世記」

チャールストン・ヘストン主演の名作「猿の惑星」のリメイク版が公開されたのは、確か2001年のことだったと思うが、名匠ティム・バートンのありあまる才能をもってしても、残念ながら、記憶に残る1作とはなり得なかった。それから、10年、「猿の惑星 創世記」は、「猿の惑星」シリーズの原点ともいうべき、何故、人間が、そして、地球が、高度な知能を持つ猿に支配されるに至ったのかを描く、おそらく新シリーズとなる物語の、文字通り、記念すべき第1作である。

舞台は、現代のサンフランシスコ。新薬開発の過程で、その実験動物となった猿の子供の、シーザーと名づけられた一匹の猿が、その薬効によって、突然変異的な進化をとげ、人間への愛と、同時に、その人間による理不尽な「非人間」的な扱いに、心を引き裂かれ、苦悩し、やがて、自由を求めて、猿のリーダーとして、人間と全面的に対決していくに至る過程を、最先端のCG技術によって、リアルかつ感動的に、描いている。

最新のCG技術に全面的に依拠しながらも、この映画を観れば、きっと、誰もが人間側ではなく、シーザー率いる猿の側に立って、その大いなる自由への戦いに、声援を送らざるを得ないだろうと思うくらい、説得性のあるストーリィによって裏打ちされている「人間」ドラマ。同時に、科学に溺れた人間の末路も、キッチリと暗示される。秀作である。特に、ラストのゴールデンゲート・ブリッジにおける、猿と人間との攻防が、素晴らしい。まさに、地球の支配者が入れ替わる、歴史的なシーンだ。

しかし、この第1作があまりにも素晴らしかっただけに、逆に、次作への不安も・・。