「X-MEN ファースト・ジェネレーション」 | 土方美雄の日々これ・・・

「X-MEN ファースト・ジェネレーション」

シリーズものは息詰まると、原点に戻るのが常道。「X-MEN」もまた、本作で、秀作だった1・2作のブライアン・シンガーが監督としてではなく、製作者として復帰、監督には新鋭のマシュー・ヴォーンを起用して、Xメン誕生の原点を描く、いわゆるエピソード1の登場となった。

舞台は、いわゆるキューバ危機真っただ中のアメリカ。第2時大戦中、ナチスによって母を殺され、超能力に目覚めたエリック(後のマグニートー)が、母の敵を討つ旅の過程で、もうひとりの超能力者、チャールズ(後のプロフェッサーX)に出会い、対立しつつも、次第に友情を育んでいく様を描く。しかし、時あたかも、エリックの母を殺したナチスの科学者ショウ率いる超能力者グループが、アメリカとソ連の対立を利用した世界の破滅を目指し、暗躍し始め、チャールズとエリックは手を組んで、未だ未熟な、若い超能力者たちを鍛え、ショウ一派の企みを阻止すべく戦うことになる・・と、まぁ、そんな話。

超能力者への、人間の差別と偏見を克服し、人間と超能力者との平和共存を目指す、理想主義者のチャールズに対し、自分たちを敵視する人間への憎しみを増大させ、復讐とを誓うエリック、その考えの根本的違いが、超能力者たちの団結をも、引き裂いていく。

これは確かに、Xメン誕生秘話であるが、チャールズとエリックの対立を、決して善と悪の対立として描いていないところが、製作者であるブライアン・シンガーの真骨頂。むしろ、本編では、恵まれた環境に育ち、優等生的なチャールズより、むしろ、過酷な過去を背負ったエリックの苦悩に、力点を置いて、描かれている。

何故、エリックは、ショウに替わる「悪」の帝王=マグニートーになってしまったのか、そして、Xメンの創始者=プロフェッサーXは、何故、車椅子に座る身になったのか???という、謎に答えを与える作品にもなっている。

しかし、私がそれより何より、知りたいのは、先行の3部作の最後で、いったんは死んだプロフェッサーXの復活を予兆するシーンが流れた、そのまさに続き。是非是非、つくっていただきたいと思うが、果たして・・。