「涼宮ハルヒの驚愕」 | 土方美雄の日々これ・・・

「涼宮ハルヒの驚愕」

「涼宮ハルヒの憂鬱」から数えて、10冊目&11冊目になる「涼宮ハルヒの驚愕」が、上・下2巻本で、発売された(角川スニーカー文庫)。前作「涼宮ハルヒの分裂」の、正真正銘の続編だが、前作が出てから、実に4年あまりが経過している。

物語は、涼宮ハルヒ率いるSOS団の最終防衛ラインである、宇宙人の長門有希が、周防九曜によって機能停止状態に陥り、涼宮ハルヒとSOS団に存亡の危機が迫る、緊迫した世界と、その長門を含め、SOS団のメンバー全員が健在で、そればかりか、渡橋泰水という、謎の新メンバーまでが加入した、一見、何の問題もなさそうな世界とが、同時平行的に描かれるという展開。

このいわば、世界の分裂状態が止揚される時、果たして、何が起きるのか???というのは、これ以上書くとネタバレになるので、読んでのお楽しみだが、猪突猛進の元気娘、涼宮ハルヒと、それにふり回されつつ、同時にそれを楽しんでもいる主人公のキョン、その他、宇宙人の長門に、未来人の朝比奈(小)、超能力者の古泉という、不動のレギュラー陣の、絶妙のコンビネーションによる安定感と、まったりとした日常を、一方で楽しみつつ、他方で、著者が毎回仕掛ける、SF的大風呂敷に、あっけに取られるという、同シリーズのお約束というか、醍醐味は、今回も健在。

登場人物は、「敵」側を含めて、すべて、現実離れした美少年・美少女揃い。加えて、決して泥沼化しない、友人以上恋人未満の人間関係と、いかにも今風の物語展開なのも、同シリーズが、若者の圧倒的支持を集める所以。

でも、今回はハルヒとキョンの未来も、少しだけ、垣間見えた・・。

60近いジイさんが愛読するのは、正直、どうかと思うが、しかし、面白いものは面白い・・っす。