山下清さんの思い出 | 土方美雄の日々これ・・・

山下清さんの思い出

日本におけるアール・ブリュット(アウトサイダー・アート)の描き手として、その「先駆的役割」を果たしたのは、何といっても、山下清だろう。最近は故芦屋雁之助さんに替わって、ドランクドラゴン(だったっけ?)の塚地何とかさん(すいません、名前がわからん)が演じている「裸の大将放浪記」でお馴染みの、あの山下清である。

昨日、「リプレーザ」の発送作業で早稲田に向かう途中で寄った書店で、美術評論家の三頭谷鷹史さんの「宿命の画天使たち~山下清・沼祐一・他~」(美学出版、1900円+税)という今年の6月に出た新刊を見つけて、買った。

そういえば、私が子供のころ、住んでいた藤沢の「さいか屋」というデパートで、山下清の貼絵展が開かれていて、観に行った記憶がある。そこで山下清さんに買った絵(もちろん、プリントされたもの)にサインをしていただいたのである。山下さんは非常につまらなそうな表情で、太いマジックを使って、黙々とサインをされていたのが、強く印象に残っている。

「裸の大将放浪記」で寅さん的な愛されキャラになってしまった山下さんだが、今考えると、しかし、そのことによって、逆に画家としての彼の評価は、急速に後景化していったように、思われてならない。

そんなことを考えつつ、買った本を少しずつ、読んでいる。