広島県安芸高田市の郷野小学校を訪ねて(2023/05/04) | haiko-riderのブログ

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2010年春から現在まで、趣味で廃校休校巡りをしてます。
これまでに訪れた校舎や思い出を記事にしてます。
無分別な廃墟探索とは全く異なりますので、誤解無きように。

安芸高田市(あきたかたし)は、広島県の北部に位置する市です。

2004年(平成16年)3月1日、高田郡吉田町、八千代町、美土里町、

高宮町、甲田町、向原町が合併(新設合併)して安芸高田市が発足

しました。

戦国大名の毛利元就の本拠地として知られ、その居城でもある

郡山城があります。

安芸高田市サッカー公園はサンフレッチェ広島の練習場としても

使用されています。
郷野(ごうの)小学校は国道54号線、江の川流域に位置する

美しい木造校舎です。

2015年8月以来、約8年ぶりの訪問となります。

 

付近の詳細図は上図の通りです。

2019年3月に閉校となってから、現在どうなっているのか

気になって訪ねてみました。。

 

三次市内から国道54号を南下、(広島市内からは北上)

郷野交差点を左折し脇道を進むと、田園地帯に瓦屋根の木造校舎が

見えてきます。

 

田園は、田植え前で遮るものが無く、校舎や体育館の後ろ姿が

くっきりと浮かび上がります。

 

校舎の斜め端部は、板張りの壁や寄棟屋根が立体的で見栄えが

良いですね。。

 

石造りの校門に往時の銘板が残っています。

往時と云っても、4年前のことですが。。

 

綺麗に整備された校庭と木造校舎、体育館。

 

体育館は重厚な鉄筋の建造物です。

 

校舎の全景

校舎は前回訪問時と全く変わっていませんでした。

閉校後、児童が居なくなってからも綺麗に保たれています。

地元の方々の郷土愛、学校への愛着が伝わってきます。

校舎の存続、活用を図ろうと「郷野小学校再生プロジェクト」が

立ち上がり、住民一丸となって清掃活動や校舎の修繕等を行って

おられるようです。頭の下がる思いです。。

 

いつ訪ねても変わらない美しい木造校舎です。

1935年(昭和10年)落成の校舎に伝統と品格が漂います。

「美しい木造校舎百選」に選ばれただけのことはありますね。。

 

↑閉校式に撮られた写真をみると、正面玄関の両側に立つ

「カイズカイブキ」は綺麗に刈り込まれていました。

ちなみに、今回の訪問後に再生プロジェクトのメンバーにより

剪定が行われスッキリした姿になっています。

高所作業車を使用して大掛かりな作業だったようです。

乱雑に伸び過ぎた無精髭を整えたということですね。。

本当にお疲れさまでした。。

 

校舎前の植栽も手入れされています。

 

下見板張りの壁、木製の窓枠。

鉄筋校舎には感じられない温もりやノスタルジーが伝わってきます。

 

校舎の玄関

玄関塔1

破風や中央の壁面は、モルタルを埋めて洋風建築にみられる

ドイツ壁のような洒落た仕上げとなっています。

 

玄関塔2

丸時計、丸い通気口がドイツ壁を装飾していますが、

ロボットの顔のように見えますね。

 

校章

ひまわりをデザインしたものでしょう。。

 

玄関に貼ってあった歓迎の言葉は、ラミネートで封じられていました。

閉校となった現在は、構内に許可なく入ることが出来ません。

再生プロジェクトのHPをみると、内部の様子が掲載してありました。

 

廊下の様子1

長い廊下では、伝統行事の雑巾がけレースが行われました。

 

廊下の様子2

1969年(昭和44年)トランペット鼓隊発足に始まり

数々の音楽コンクールで表彰された金管バンドが自慢でした。

 

教室の様子

 

1975年(昭和50年)より植え付けられてきた芝生。

 

1972年(昭和47年)7月に設置されたプール。

2011年(平成23年)5月に改修されました。

 

手洗い場

 

校庭の遊具1

校庭の遊具2

 

校庭の遊具3

 

校庭の遊具4

 

古タイヤの跳び箱(正面玄関から体育館方向を撮影)

 

古タイヤの跳び箱(体育館側から正面玄関方向を撮影)

 

百葉箱

 

校舎前のモニュメント1

 

校舎前のモニュメント2

昭和の時代の卒業記念製作でしょう。。

 

赤く錆ついたD51の動輪

1975年(昭和50年)6月に国鉄から譲渡されたものです。

 

樹木の茂みに立つ二宮尊徳像

 

 

凛々しい顔立ちですね。。

 

創立百周年記念碑

 

郷野小学校(2019年3月閉校)

沿革をみると、

1874年(明治7年)高野村惟神舎・桂村本立舎・長屋村修徳舎

・上入江村養徳舎開校
1887年(明治20年) 入江尋常小学校、桂簡易小学校と改称 

高原西簡易小学校開校
1909年(明治42年)3月 高等科併設郷野尋常高等小学校と改称
1935年(昭和10年)11月 同年の郷野村年間予算の約2倍で

現在の校舎落成
1947年(昭和22年)4月 郷野村立郷野小学校と改称、高等科廃止
1952年(昭和27年)5月 講堂落成
1953年(昭和28年)4月 吉田・丹比・可愛・郷野村合併により

吉田町立郷野小学校と改称
1957年(昭和32年)11月 運動場拡張竣工、12月 学校図書館開設
1969年(昭和44年)11月  トランペット鼓隊編成発足
1971年(昭和46年)4月 全校合奏開始
1972年(昭和47年)7月 学校プール設置
1985年(昭和60年)5月 屋内運動場落成

1987年(昭和62年)全校児童 115名
2004年(平成16年)3月 安芸高田市発足により安芸高田市立

郷野小学校となる

2018年(平成30年)全校児童 48名
2019年(平成31年)3月 閉校

閉校後は、郷野小学校再生プロジェクトが立ち上がり、地元の有志に

より、校舎内の清掃、木の窓枠の修繕、窓ガラスの交換、雨どいの修理、

排水路の清掃、低い植木の剪定、花壇の整備等が行われていますが、

地域の方々の高齢化が進み、維持・管理が難しくなってきているとのことです。

県下に残存する貴重な美しい木造校舎は、新たな活用方法が検討されていますが

決まっていないようです。

博物館、カフェ、レストランなど県内外から訪れてもらえるような誘致の取組も

一考かと思います。