(photo by Yuki Kuroyanagi)

ジャクソン・ブラウン3/11東京公演セットリスト:3.11にジャクソンのNO NUKESの想いを込めた「ビフォー・ザ・デリュージ」

ジャクソン・ブラウン7年振りの単独ツアー東京公演初日、3月11日(水)が渋谷オーチャード・ホールで行なわれました。この日は3.11東日本大震災から4年目。反原発を70年代から訴えかけてきたジャクソンがどういったメッセージを語ってくれるのか?

この日は数多くのお客さんからのリクエストが来たものの、当初考えていたセットリストを貫いた。それも最後の曲を必ずやるためだったのではないかと思います(会場の終演時間の決まりもあるので)。途中「
Youre A Friend Of Mineをやってくれ!」というリクエストに対して「それの反対の曲だよ」と言って「Im A Live」を演奏したり、「Looking East」あたりでは客席からのリクエストに対して「リクエストの誘惑に負けてしまうことが多いんだけど(笑)、今日は順番通りにやってみるよ」と言ってましたね。

3.11ということでたぶんこの曲で何か言うのではないかと想像してましたが新作のタイトルトラックであり、ハイチの地震後に書かれ、より良い世界の建設を呼びかけ、「難局に当たる」という内容の「スタンディング・イン・ザ・ブリーチ」の冒頭ではこう語りました


「ハイチの大地震のあとに書きはじめた曲だけど、世界が震災、天災などの大災害にあった時、世界がどのような反応、対応をするのかを書いた曲。フクシマの大災害もあったのに、フクシマのような災害があったことや、原発への疑問などを話すことすら規制する法律が最近はある(=言論の自由を奪う)(皮肉な笑い)。また人間の歴史の中で一番大きな大災害 ともいえることは貧困なんだ。世界中の問題として解決しなければならないことだ」


そして、この日の一番のハイライトはアンコール後Take It Easy/で最高に盛り上がったあと、一番最後の曲として選んだこの曲だった

「No Nukes。フクシマ、そしてそれ以外の日本全体の問題でもあると思う。アメリカでもどんどん原発をクローズしている状況だけど、日本と同じような問題が生じている。

アメリカでは政府と電力会社の癒着のいろいろな証拠が出てきて、裁判になって秘密が暴かれようとしている。政府は原発が危ないという、本当の真実を隠している。それがもうすぐ明らかになるかもしれない。とにかくNO NUKESなんだ。僕の願いはEarth to be safe。地球が安全な場所、安心できる場所になってほしいということだ。そう願っている。日本でも、アメリカでも、それ以外の国でも、そこで戦っている人たちに捧げます」


こう語ると「Before The Deluge」を披露。名古屋ではやらなかったこの黙示録的な名曲をどうしても3.11のこの日にやろうとしたのでしょうね。


夢を追い求める人々
無邪気な人々
未来のことばかり考えて
計画を練っているのだ
無垢のエネルギーを含め
彼らは道具を集めていた
自然に戻る旅を始めるために
彼らには必要だったんだろう
隙間から砂がこぼれ落ちる間に
金の指輪を求めて彼らの手が伸びる
心とともに
彼らはお互いの意志を隠れ家を作るために向ける
大洪水が到来する前の
この苦難の歳月に

(「ビフォー・ザ・デリュージ」より)


No Nukes: The Muse Concerts for a Non-Nuclear Futureについて
1979年、スリーマイル島の原発事故の後、ジャクソン・ブラウン、ジョン・ホール、ボニー・レイット、グラハム・ナッシュがM.U.S.E.「Musicians United for Safe Energy(安全なエネルギーを求めるミュージシャン連合)」を立ち上げ、同年9月NYのマジソン・スクエア・ガーデンで「NO NUKES」(原子力発電所建設反対運動)コンサートを開催。ブルース・スプリングスティーンなども出演し、その模様は映画でも公開され3枚組レコードとして発売された。また、2011年東日本大震災後の8月7日に米カリフォルニア州マウンテンビューのショアライン・アンフィシアターにて東日本大震災チャリティとして32年ぶりのNO NUKES第二弾「M.U.S.E. Benefit For Japan Relief」コンサートが開催された(広島と長崎の原爆記念日の間である2011年8月7日に設定)。コンサートには1979年のオリジナルMUSEコンサートに出演した、ジャクソン・ブラウン、クロスビー・スティルス&ナッシュ、ジャクソン・ブラウン、ボニー・レイット、ドゥービー・ブラザーズ、ジョン・ホールなどが参加。

このチャリティ・コンサートに際してジャクソンはこう語っていた 

「福島の災害は日本への災害であるだけではない。それは地球規模の災害です。我々は、エネルギーの使い方を変えるため、人類が抱える問題を解決する方法を探すため、文化、国境、政治、世代を越えてここに集まっています。我々は核のない未来を信じる人々、日本人を含めてあらゆる国の人々と一つになりたいです。」(ジャクソン・ブラウン

3.11に日本の地に立ち、コンサートで明確なメッセージを真摯に誠実に語ったジャクソン・ブラウン。これまで行なってきた一貫した姿勢そのままの強い意志を感じる意義のある素晴らしいコンサートだった。


ツアーはこの後、312()13()と東京公演を行なったあと、16()に大阪、17()に広島と西日本へ舞台を移し、最終日の19()大阪追加公演へと続きます。


【セットリスト】 311日オーチャードホール

 Set One

1 The Barricades of Heaven バリケーズ・オブ・ヘヴン(1996『ルッキング・イースト』収録)
2 Looking Into You ルッキング・イントゥ・ユー(1972『ジャクソン・ブラウン・ファースト』収録)
3 The Long Way Around ザ・ロング・ウェイ・アラウンド*
4 Leaving Winslow リーヴィング・ウィンズロー*
5 These Days 青春の日々(1973『フォー・エヴリマン』収録)
6 Shaky Town シェイキー・タウン(1977『孤独なランナー』収録
7 Just Say Yeah ジャスト・セイ・イエー(2008『時の征者』収録)
8 Im Alive アイム・アライヴ(1993『アイム・アライヴ』収録)
9 You Know The Night ユー・ノウ・ザ・ナイト*
10 For A Dancer ダンサーに(1974『レイト・フォー・ザ・スカイ』収録)

 Set Two

11 Your Bright Baby Bluesユア・ブライト・ベイビー・ブルース(1976『プリテンダー』収録)
12 Rock Me on the Water ロック・ミー・オン・ザ・ウォーター(1972『ジャクソン・ブラウン・ファースト』収録)
13 If I Could Be Anywhere イフ・アイ・クッド・ビー・エニホェア*
14 Which Side? ウィッチ・サイド?*
15 Standing In the Breachスタンディング・イン・ザ・ブリーチ*
16 Looking East ルッキング・イースト(1996『ルッキング・イースト』収録)
17 The Birds of St. Marks ザ・バーズ・オブ・セント・マークス*
18 Doctor My Eyes ドクター・マイ・アイズ(1972『ジャクソン・ブラウン・ファースト』収録)
19 Sleeps Dark And Silent Gate 1976『プリテンダー』収録)
20 The Pretender プリテンダー (1976『プリテンダー』収録)
21 Running on Empty 孤独なランナー(1977『孤独なランナー』収録)

Encore:

22 Take It Easy テイク・イット・イージー(1973『フォー・エヴリマン』収録)
23 Our Lady of the Well 泉の聖母(1973『フォー・エヴリマン』収録)
24 Before The Deluge ビフォー・ザ・デリュージ(1974『レイト・フォー・ザ・スカイ』収録)

*最新作『スタンディング・イン・ザ・ブリーチ』収録(全10曲中7曲演奏)

【公演情報】

「ジャクソン・ブラウン JAPAN TOUR 2015

309日(月) 名古屋 愛知県芸術劇場大ホール

311日(水) 東京 オーチャードホール

312日(木) 東京 オーチャードホール

313日(金) 東京 オーチャードホール

316日(月) 大阪 フェスティバルホール

317日(火) 広島 広島文化学園HBGホール

319日(木) 大阪 フェスティバルホール(追加公演)

お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999

http://udo.jp/Artists/JacksonBrowne/index.html

 

【リリース情報】

ジャクソン・ブラウン

14th オリジナル・アルバム 『スタンディング・イン・ザ・ブリーチ』

NOW ON SALE (2014108日発売)

SICP-30674  ¥2,600+

日本盤のみ、高品質Blu-spec CD2仕様+ボーナス・トラック収録

解説 五十嵐正

歌詞対訳 中川五郎
http://www.sonymusic.co.jp/artist/JacksonBrowne/