「実人生」を賭けた1っ戦… 再ランクインを目指す33歳・石川浩久 VS 連敗脱出したい遠藤靖幸  | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

2006 2 22  クラッシュパンチシリーズ 第160弾 後楽園ホール

55.3kg契約ウェイトによる8回戦 


 石川浩久 33歳 17勝5KO7敗7分 国分寺サイトー 元日本SB級1位

  VS

 遠藤靖幸 23歳 7勝4KO7敗1分 ワタナベ 


石川VS遠藤1 …いい目つきだ、石川よ


 さて、Higege91の同級生、33歳の元日本ランカー、約5年半ぶりの勝利からの再起第2戦目。


 参考記事前戦 対池田正光 http://ameblo.jp/higege91/entry-10005057808.html

 石川選手とHigege91 http://ameblo.jp/higege91/entry-10009223983.html  

 石川浩久全戦跡 http://www.boxrec.com/boxer_display.php?boxer_id=015763  BOXRECより

   

  日本タイトル前哨戦で中島吉兼に破れ、そこから挫折と試練が始まった。その中島はその後日本タイトルを奪取(4度防衛)、世界ランカーとなりあの西岡利晃と世界挑戦者決定戦で激闘を演じた。その石川よりも若い中島はその王座を木村章司に奪われ、昨年引退している。


 …が、その5年前の敗戦から「時」が止まってしまった、という石川浩久、33歳…。


 再び、石川浩久の『心の時計』は動き出すのか…!?


  かたや対戦者の遠藤靖幸は若いがちょっと負けが込んでいる23歳。ここ6戦は5敗1分け…とスランプに陥っている。是が非でも勝ちたいだろうなぁ。そうでなくちゃリングに上がれない!!遠藤の『心の時計』もまた止まったままなのだろう…。


 タイトルは掛かっていない…が、それぞれにとって『これからの自分』を賭ける重要な1っ戦なのだ。


 石川は右ボクサーファイターのボクサー寄り。一発はないがフットワークと切れで勝負する技巧派。一方の遠藤は右ボクサーファイターの馬力型…とパンフレットにはある。


 負けられない男同士の『テクにシャン』VS『馬力』の1っ戦!! 運命のゴンクが鳴りますよ!!


 石川vs遠藤3

 

 R1 静かな立ち上がり…。両者距離の探りあい。ふーん、石川よりも遠藤の方ががっちりしてるし、リーチも若干長そうだな。サークリングして「間合い」を探っていた石川が踏み込んでジャブ、ワンツー!! 重くはないが綺麗な攻撃!! 遠藤のパンチが届かない距離から踏み込んでの攻撃後、すかさず距離を置く。遠藤は手数もあまり出なかった。 石川 10-9


 R2 遠藤が積極的に出てくる。手数が増えてきた。石川は中間距離を巧みに作る。試合を組み立てているのは石川だ。両者の拳が届く距離でパパパーン!! とパンチの応酬!! 石川、踏み込んで連打をまとめる。これが『石川流』だ。遠藤は振りが大きいから当たるとヤバイが、この時点では距離を作って見切っている。

 石川 10-9


 R3 石川よりもリーチの長い遠藤だが空転の連続!! 石川のしぶとさと巧さは「パンチまとめる」ことにあるように思う。そのコンパクトな連打はワンツースリーフォー…と続くから見栄えもいいのだ。しかし、遠藤は距離を作れず苦しい展開。でも、パンチは重いからまだまだからわからないぞ…。石川 10-9


 R4 攻めと守りをきっちりと切り替えながら闘うテクニシャン石川がベテランの味を醸し出す。…が、ここへきて遠藤の動きに「切れ」が増してきた。R終盤には石川をコーナーに詰めて連打を放つ!! 細かいパンチは石川だが1っ発の重みは遠藤だ。ここは互角か? 10-10


 R5 序盤、果敢に打って出てくる遠藤!! 攻めあぐねる石川。遠藤はスロースターターみたいだな。力が漲ってきた。手応えのあるパンチもあったのかもしれない。プレッシャーでは遠藤に軍配が上がるもR終盤、石川も右ストレートで遠藤の頭を跳ね上げ、さらに遠藤の距離、接近戦で真っ向勝負を見せる。こう言っては失礼だがそう「打たれ強そうではない」石川も踏ん張りを見せる。打ち負けなかった。互角 10-10


 R6 打って離れる「石川流」が冴える。その集中力の高まりが感じられる。遠藤の口がやや開いてきたのに対し、石川はスタミナ充分といった感じだ。被弾も少ない。…が、そろそろジャブを浴び続けた遠藤の右目が腫れ始めた。視界も悪くなってそうだな。石川 10-9


 R7 二人の距離が詰まって打ち合いが展開される場面が増えてきた。遠藤も逆転の「1っ発」を狙っているし、その強打は相変わらずだ。


石川VS遠藤2 …かいくぐって打つ石川、遠藤も燃え上がる!!


 馬力を売り物にしている遠藤にとって格好の距離となる接近戦で勝負する石川、白熱するもその高まった集中力が切れることはない。連打相打ちの局面でも「冷静な自分」の存在がそこには見えた。しかし、遠藤はガッツを発揮、大きな左右フックを果敢に振ってくる。石川も被弾するが、スリッピングアウェー!! ダメージは少なさそうだ。…これがベテランならではの『精神コントロール』と言った感がある。遠藤は再三の石川の左リードを浴びているため右目は完全にふさがっているように見えた。石川のコンパクトな連打が遠藤を捉える。ハッピ姿の石川応援団が燃え上がる!! 石川10-9


 R8 ラストラウンド!! 判定なら先ず問題ない展開だったが、強打者遠藤に最後まで果敢に攻め込んだ石川。石の上にも3年!! …じゃないが、その細かい連打、手数で馬力型・遠藤を連打で押し切る見せ場も作り、最後まで攻め続けた。できればダウンを奪いたかったが、遠藤にとっても負けられない1っ戦、しぶとくて当然。遠藤の気迫も輝いたが、巧さが馬力を「捌いて」みせた。 石川10-9


石川VS遠藤4


 Higege91の採点 80-74 石川浩久の勝ち

 公式の採点 79-74 79-75 79-75 の3-0で勝者、石川浩久!!


 …勝った!! よし!!


 巧さを存分に発揮しての完勝であった。


 まだまだ「先」を見据える33歳。


 …が、ここからが正念場だ。日本ランク再獲得をするにはその「肩書き」を持った選手と戦わなくてはならない。そして、きっちりと勝たなければならない。


 日本スーパーバンタム級は層が厚いのだ。


 王者 福原力也

 1位 酒井俊光

 2位 玉越強平

 3位 山中大輔

 4位 木村章司

 5位 宮 将来    

 6位 国見 泰央  

 7位 児玉卓郎   

 8位 下田昭文   

 9位 塩谷悠     

 10位 杉田祐次郎   1月25日現在のランキングなので変動します!!


  …で、先日無敗ホープ・下田昭文を破った瀬藤幹人がランクインしてくるのは確実。元日本・東洋太平洋  

 王者らが含まれる猛者がズラリのこの階級…。


 ぐ・・・


 33歳にとって、正直「上積み」を期待するのは酷と言うものだろう。現状維持を継続するだけでも相当なトレーニングを必要とするだろう。…が、スタミナ増強や、新しい戦術…だけが上積みではない。


 磨き上げることで自然と輝く『鋭さ』と、『精神力』で勝負だ!!


 石川浩久はまだ夢の途中なのだ。


 ここは通過点なのだ。


 ふぅ。


 同じく石川選手と同級生で高校も同じ学校に通っていたM・Wも今日は観戦。


 え? …お前の子供って、もう3歳なのかよ!?


 光陰矢のごとし…ですな。


 二十代は早かったな、三十代はもっと早いんだろうな…。


 石川よ、がんばんなくっちゃなぁ!! ベテラン、ベテランってうるさいかもしれないけど、その『経験』が最大の武器でもあるわけだし、年齢による体力減少、反射神経の鈍化なんかもあるだろうけど、克服できないことはない。そう信じて自分を磨いてくれ!! いい勝利だった、弾みがついたぞ、行けー!!


 素晴らしい後援者がいっぱいいて幸せだよな、みんなの夢が、君の拳には宿ってるんだ!!


 遠藤選手、お疲れ様でした。いいガッツだった。君の勝利を見届けたい…って思った。この後楽園ホールで、勝ち名乗りを受けて再び「心の時計」が動き出すのを待っているぞ!! 


 石川VS遠藤5 富本選手お疲れ様でした


 …で、今回の興行は元日本ランカー・富本慶久選手の引退セレモニーがあった。

 2度のタイトルマッチに僅差の判定負け、しかし、アマ時代のアジア大会銅メダル獲得は輝かしい。

 本当にお疲れ様でした。


 御愛読感謝


 つづく