超満員で、立ち見まで出た喫茶店。

 


これ以上入りきらないほど、お客さんで溢れかえりました。

 



途中から来られた方々が、残念そうに帰っていきます。



それもそのはず。

劉玉瑛が歌うのですから。

http://ryu-gyokuei.net/


ケーキを食べながら、音楽を楽しめる。

 

流れるピアノとアコーディオン。


そんな喫茶店が、私たちの身近にあります。


普段は生演奏ではなく、BGMでシャンソンを流しているようです。




みなさん、「シャンソン」ってご存じですか?

フランス生まれの歌のこと。

 



「シャンソンって何?」

「シャンソン歌手って、何する人?」

という疑問をネットで見かけます。


と、いうことは、ネットユーザー層がシャンソンと出会うきっかけがあるということ。

若者も楽しめるミュージックですね。



「歌」をフランス語にすると、「Chanson」。

ですから昔から今に至るまで、フランス生まれの歌はシャンソンとなります。



ただ、日本で歌われているのは、その中の一時期をピックアップしたもの。

その特徴は「男と女のドラマ」。

多くの歌手は日本語で歌いますから、分かりやすいですよ。



目白駅から徒歩1分もかからない。

カフェ「アコリット」。

http://www.cafe-acorite.com

ここが、今回の会場です。

昨年末に前を通り、気になっていた場所。


立地がすごく好き。


階段の途中にあるのです。

降りきった場所ではなく、途中に。

 

そこに物語を感じます。

デートで喫茶店を選ぶなら店内の雰囲気を重視するのですが、立地で選ぶなら、ここがいいな。



出演者の一人である、高梨雄太郎さんのお店。

 




帰宅後にアコリットをネット検索したのですが、どうやらその日によってケーキが異なるようです。

http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130502/13015804/

出会いが楽しめるのですね。


 


歌手も出会い。

歌も出会い。




高梨さんの声は、とにかく渋い。

 

男の憧れ。

ですから、歌を選ぶと思うのです。

https://www.facebook.com/yutaro.takanashi.92




声という食材を、最も活かす料理と組み合わせるとズドンッ!と、心に刺さります。

『ジャッキー』という歌が、めちゃくちゃカッコイイ!!!!




劉玉瑛は、声がズルすぎる!

良い意味で。

 


食材が魅力を持ちすぎているから、どう料理しても心が満たされます。

いや、料理すら必要ありません。


玉ちゃんがしゃべっているだけで、延々と心地よさが続きます。


何なのでしょうね。

神に微笑まれた人は、私たち凡人がどれだけ努力しても届かない別の次元に存在しているようです。

厚みも彩りも、格が違う。

 



彼女の歌、その長音が凄すぎる!

全体的に凄いのですが、長音が一番分かりやすい。

極上の味がいくつもいくつも現れ、心を満たし続けます。


ヴァイオリンに例えるなら、劉玉瑛はストラディバリウス。

シャンソン界を代表する名器であり、NEROとともに至宝であるシャンソン歌手です。





私、ゲームクリエイターという仕事をしていて、つくづく感じます。

「誰と作るか」

これが作品にものすごく影響すると。


同じ私が手掛けたものでも、組む相手で全然違ったものになる。

ゲームも歌も、一人が作ったものではないのです。



ゲームには開発者がいて、デバッグチームがいて、広報がいて、事務方がいて、快適な仕事環境を作る掃除やメンテナンス、飲食業者の方がいる。


歌には歌手がいて、奏者がいて、バックアップメンバーがいて、お店の方がいて、それらの前には、作詞家や作曲家もいる。



その方々が作る時間に、私たち客はお金を払う。

一人がパーフェクトでも、一人が何かすると、客は損をする。


この辺り、NEROはイベンターとしても凄いなぁ……





さて、もう一人の歌手。



樋口亜弓ちゃんも、歌を選ぶ声。

http://higuchi-ayumi.net



アコリット、ふらっとなにげに立ち寄るような、気楽な雰囲気。

そこに狂気を感じさせる曲を持ってくるとは……

(上の映像は別の曲です)



その曲とは、『パダムパダム』。



これは、心臓の音「ドクンドクン」を表しています。



樋口亜弓の真骨頂。

この曲をここまで歌いこなすのは彼女だけ。


その『パダムパダム』を味わった私は、もう他の人の同曲は聴く気になれません。

あなたにも是非とも聴いていただきたい歌なのですが、YouTubeにもあるのですが、あれはまだ歌いきる前のものなのです。

今のパダムパダムを聴いていただきたい。



ピアニストの畑野芳恵さんも凄い!

http://www.yoshiehatano.com/

亜弓ちゃんの狂気が畑野さんを狂わせ、畑野さんの狂気が亜弓ちゃんを狂わせていく……


 

 


歌手だけが発するのではなく、奏者も発する相乗効果。

このコンビネーション、いやぁ、引き込まれました!



同じ曲でも、歌い手の数だけ味が存在するのがシャンソン。

それがこのジャンルの面白さ。

ビーフカレーや味噌ラーメンが、お店の数だけ楽しめるように。



しかし、樋口亜弓という味と出会った今となっては……

別の方の『パダムパダム』を聴いている間、私はこう思うでしょう。

「亜弓ちゃんの歌を聴きたいな」

と。



彼女は2年連続で新人賞を受賞し、国際フォーラムに立つ歌手。

http://www.j-chanson.jp/news/4880.html


実力があるのに、歌手の樋口亜弓を個人の樋口亜弓サイズで見せているのが、とても勿体ない。

まじめで不器用な子。

もう少し大きく魅せられると思うんだけどな。

 


「遠さを感じさせてほしい」と思う一方で、この等身大感が、歌手としての彼女を支えていくとも思います。

ファンが離れないタイプの歌手です。

AKBしかり、立木久美子しかり。




高梨さん、玉ちゃん、亜弓ちゃんは、シャンソンユニット「ラリエゾン」のメンバーでもあります。

その名曲「再会記念日」も聴けました。

この歌が好きなので、嬉しかったな。





最後に、アコリットの店員さんに感謝。

開場前から並ぶ私たちを気遣ってくださり、早めのオープンが可能か、何度も聞きに行ってくださいました。

ありがとうございました。