Scarborough Fair/Canticle
(19c folk song/Paul Simon & Art Garfunkel)

※「Scarborough Fair/Canticle」の英語歌詞はこちら



Are you going to Scarborough Fair?
スカボローの市へ行くのですか?

Parsley, sage, rosemary, and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

Remember me to one who lives there
ならばそこに住むあの人に、よろしくと伝えてください

She once was a true love of mine
彼女はかつて 私が心から愛した人でした



Tell her to make me a cambric shirt
亜麻製のシャツを繕うようにと、彼女に伝えてください

( On the side of a hill in the deep forest green )
( 深い森にある丘の斜面で )


Parsley, sage, rosemary, and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

( Tracing of sparrow on snow-crested ground )
( 雪の積もった地面に残る雀の足跡を追い )


Without no seams nor needlework
縫い目も刺繍も施していないものを作ってくれたら
 
( Blankets and bedclothes the child of the mountain )
( 毛布と寝具に包まれたあの山並みの子供は )


Then she'll be a true love of mine
彼女は再び 私の恋人になるのです
 
( Sleeps unaware of the clarion call )
( 召集ラッパの音など気付かず眠る )




Tell her to find me an acre of land
1エーカーの土地を見つけるようにと、彼女に伝えてください

( On the side of a hill, a sprinkling of leaves )
( 丘の斜面で、散らばり落ちる葉たち )


Parsley, sage, rosemary, and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
 
( Washes the grave with silvery tears )
( 銀の涙を流しながら墓石を洗い )


Between the salt water and the sea strand
海水と岸辺の間にその土地を見つけられたら

( A soldier cleans and polishes a gun )
( 兵士は銃をきれいに磨く )


Then she'll be a true love of mine
彼女は再び 私の恋人になるのです



Tell her to reap it in a sickle of leather
皮革でできた鎌で刈り入れをするようにと、彼女に伝えてください
 
( War bellows blazing in scarlet battalions )
( 戦争が唸りを上げ、緋色の軍服を着た大軍の中で鉄砲の火が飛び散る )


Parsley, sage, rosemary, and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

( Generals order their soldiers to kill )
( 将軍は兵士たちに「殺せ!」と命ずる )


And gather it all in a bunch of heather
そしてヒースの束に刈ったもの全てを収められたら
 
( And to fight for a cause they've long ago forgotten )
( 何故戦うのか、その理由すら忘れ戦いを命ずる )


Then she'll be a true love of mine
彼女は再び 私の恋人になるのです



Are you going to Scarborough Fair?
スカボローの市へ行くのですか?

Parsley, sage, rosemary, and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム

Remember me to one who lives there
ならばそこに住むあの人に、よろしくと伝えてください

She once was a true love of mine...
彼女はかつて 私が心から愛した人でした...




(日本語訳:東エミ)
photo/https://wallpaperscraft.com/







今日の曲は、
「Scarborough Fair/Canticle(スカボロー・フェア/詠唱)」
アメリカの人気アーティスト・サイモン&ガーファンクル
1966(昭和41)年にリリースし、
翌年には大ヒット映画 『The Graduate(卒業)』 でも流れたことで
世界中の人にこの曲が広く知られるようになりました。


けれど、元を辿ると「Scarborough Fair」自体は
15世紀頃からイングランド(英国)の吟遊詩人たちによって歌われ続け、
18世紀末に、現在私たちが耳にしているようなメロディーに形が整った楽曲です。


美術館に展示されている西洋絵画のような独特の美のオーラを放つこの曲。
歌詞の中に繰り返し出てくるあのフレーズ、
“parsley, sage, rosemary and thyme” をはじめ
今の時代に聴くと、何だかとても神秘的な雰囲気を醸し出しています。


今回訳詞するにあたりいろいろと調べました。
そのことで理解出来たことが多々あったので
一部ですが下記にまとめます。

まず、タイトルになっている「Scarborough(スカボロー)」とは
イングランド北東部のヨークシャー州にある海沿いの観光地・スカボローのこと。
中世の古い様式の建物が今も立ち並ぶ美しい町です。
(といっても、イギリス全土、どの町も古く美しい町並みですが)

ジャズ&洋楽訳詞 “Groovy Groovy ~and all that jazz~”












「Fair(フェア)」とは、定期的に開かれる市・マーケットを指すので、
タイトルを日本語にするならば “スカボロー市場” ということになります。


ちなみに「Fair」は他に古語として "最愛の女性" と言う意味もあります。
「スカボローの市」「スカボローに住む最愛の女性」
二つの意味をかけているようにも思えます。



で、例の “ parsley, sage, rosemary and thyme ” です。
アロマセラピー等にお詳しい方ならピンと来るかもしれませんが、
これらは下記の4種類のハーブの名です。

1) parsley(パセリ)
消化促進、食中毒防止に

2) sage(セージ)
免疫力アップ、肉の臭み消しに

3) rosemary(ローズマリー)
抗菌作用に。また愛と貞節の象徴として、イギリスや他のヨーロッパの国々では花嫁の髪にローズマリーを挿す慣習があるとのこと

4) thyme(タイム)
古代エジプトでは防腐剤に使用。また度胸の象徴として、その昔、戦いに赴く兵士の楯にタイムを付けたとのこと


ご覧の通り、各々強く深い意味を持っていますが、
現代のような科学がまだ無かったその昔は
占いや魔術、儀式的なことが重宝されていたこともあり、
この四つ言葉を並べ言うことは一種の「呪い(まじない)言葉」と見なされ
不可能を可能にしてくれると信じ、歌われていたようです。



上記の訳詞&英詞を「黒文字」「紫文字」とで分けましたが、
「黒文字」がトラディッションの「Scarborough Fair」の部分、
「紫文字」が S&G が加えた「Canticle(詠唱)」の部分です。


読むとお分かり頂けるように、
イングランド民謡「Scarborough Fair」の歌詞の内容と
S&G が加えた「Canticle(詠唱)」は 全くリンクしていません。


イングランド民謡「Scarborough Fair」
かつて愛した女性のことをおもう男性が
「もしもこれを彼女が成し遂げてくれたなら、また寄りが戻せるんだが...」と
歌詞で説明している無理難題(というか不可能)なことを
これから “スカボロー市” へ向かう誰ぞやに
‘四つのおまじないの言葉’ と共に話しているシチュエーション。

何だか禅問答のようにも思えてきます。



では S&G の「Canticle(詠唱)」は
一体何とリンクしているか?




彼らがこの曲を制作し発表した1966年は、ベトナム戦争の最中。
エナジー溢れる20代だった二人は、
古くから伝わるこの「Scarborough Fair」に
自分たちが感じる ‘今の時代’ をはめ込み、
更なる“伝承歌” を作り出したかったのです。

そして彼らが感じ、来世に伝えたいメッセージというのが
「反戦」でした。

この時代、多くのアーティストがそうであるように、
サイモン&ガーファンクルもまた「反戦」をテーマにこの曲を発表。
時代を色濃く感じられる作品のひとつとなったのでした。


幼い頃からよく耳にしていた「Scarborough Fair/Canticle」でしたが、
その歌詞の深さや構成の巧みさ、楽曲の背景、そして歴史は
イメージで聴いていたそれを遥かに越える
スケールのとても大きな傑作でした。


"Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary, and thyme
Remember me to one who lives there
She once was a true love of mine..."





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Simon and Garfunkel『Scarborough Fair/Canticle』。
英語歌詞が表示されます。




『Scarborough Fair』の原曲とされる「Elfin Knight(エルフィンナイト)」。そのサウンドが色濃く残るイングランド出身Martin Carthy(マーティン・カーシー)の『Scarborough Fair』。英国のフォーク・リバイバルの第一人者です。サイモン&ガーファンクルはマーティンの歌声により『Scarborough Fair』と出逢い、後に自分たちの歌詞とメロディーである "Canticle" を乗せて世界的大ヒットへと繋げました。




Hayley Westenra『Scarborough Fair』のみです。天使のような歌声。




The Gothard Sisters『Scarborough Fair』のみです。






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