農水省・疫学調査チームが、初発は6例目として確認された都農町内の水牛農場で、3月中旬にはウィルスが侵入していたとの見解を示した。


 6例目についてのこれまでの経緯・・・・・・・

 3月26日→2頭に発熱・乳量低下で開業獣医師が診察。このとき、開業獣医師に口蹄疫の可能性の認識は無かった。

 3月29日→9頭、30日には10頭に拡大した模様。

 3月31日→開業獣医師から通報があり、家畜防疫員(県の獣医師)3名が立ち入り検査。経営者や開業獣医師から話を聞いた上で診察。経営者や獣医師からは、発熱・乳量低下・食欲不振・一部に下痢の症状等の情報があったことから、家畜防疫員は、消化器病を疑い、血清・糞便・鼻腔スワブ等を採材。口蹄疫を疑う症状は無い。


 4月2日→下痢を主徴とする4種類の検査結果はいずれも陰性であったことを開業獣医師に回答。

 4月5日→開業獣医師から、県の家畜保健衛生所(家保)に「殆どの牛が解熱したが食欲が回復しない」「乳房等に疵皮が形成されており、変えたばかりのノコクズによるアレルギーを疑っている」という情報提供がある。この時、「解熱した」ということからも口蹄疫は疑わなかった。

 4月14日→後血清採材のために、家保が再度立ち入り(経営者・獣医師・従業員立会)。新しいノコクズに交換した後症状を示した(シロアリ駆除剤が入っていた)。別のノコクズに変えたら熱は3日程度で下がった。子牛には泡状の流涎あり。

 

 4月21日→1例目の疫学関連農場として立ち入り検査。この時、3月31日の聞き取り内容と一部異なる内容(下記の話)があったことから、緊急に畜産課と対応を協議し、翌日に採材することに決定。

 この時の経営者の話・・・・・「(そう言えば)3月末に、1頭調子が悪くなり、一気に全頭に広がった。現在は回復した。その時、涎・口内炎・足に異常・餌を食べず乳が絞れない・乳房の皮膚に一部剥離があった」

 4月22日→採材し、その日の検体と3月31日に採材していた検体を動物衛生研究所に送付。

 4月23日→3月の検体について陽性との判断。


 (所見)

 今回検証した1例目や6例目などは、従来から言われてきた口蹄疫の典型的な症状を呈しないものであった。

 つまり、(6例目)3月31日の時点では口蹄疫を疑わせる所見・情報は無かった。この時点で、ウィルスが比較的弱く、水牛には症状として出難い、或いは水牛に関しての口蹄疫症例のデータや経験等が無いという状況もあった。

 この時点での家畜防疫員・家保・畜産課の判断は不適切とは言えず、それを責めることは出来ないと専門家は指摘している。

 

 今回、一連の口蹄疫発生確認においては、家畜防疫員・家畜保健衛生所(家保)・畜産課とも防疫指針に則った対応を行っている。

 経営者や開業獣医師からの情報提供の迅速性と正確性の改善、聞き取りの徹底、従来の症例判断基準等の見直しなどは今後の課題として残る。