岐阜市内で開催された岐阜大学の口蹄疫シンポジウム。

 村上教授は、「2000年に本県で口蹄疫が発生したときの感染実験で、感染した牛と健康な豚を同居させても、豚にはうつらなかった」と指摘された。つまり、今回のウィルスがいかに強いか、或いは変異しているかを明示しておられる。

 また、杉山教授は「宮崎県内で止めてもらっているのは奇跡に近い」と本県の防疫措置・頑張りを評価して頂いた。


 僕個人としては、今回の本県での口蹄疫発生・対策・防疫措置は、県としての反省点も含め、大規模・密集地帯での発生の初動防疫体制や殺処分・埋却等の在り方、家伝法や防疫指針等の在り方、それまでは十分では無かった補償や支援の在り方等、その他様々な課題・問題点が明らかにされたと思っている。

 また、県や各自治体、農家や県民は勿論、広く国民や政府に国家的危機管理の重要性、食の安全・農業(畜産)の大切や大変さを再認識する教訓になっているのではないかと考えている。


 政治家(公人)の発言・発信の影響は小さく無いと思う。県民や国民の皆様に間違った認識が敷衍されると困るので、例えばここで、はたともこ氏のブログ発言に対して少しだけ僕の所感を述べさせて頂いておこう。

 「1月7日付の『韓国における口蹄疫の発生について』との農水省動物衛生課長通知を受けて、一部の県ではHP上でも地元農家に対して注意喚起を行っていますが、宮崎県ではHP上で情報提供・注意喚起を行った形跡がありません。1月7日の農水省通知が宮崎県でも徹底されていたら、感染の拡大を防ぐことが出来たのではないかと今更ながらに強く思います」という指摘。

 →本県では、確かにHP上での記載はしていないが、市町村や農業団体を通じて、FAXや電話等で農家一軒一軒に注意喚起を徹底している(農家はパソコン等をお持ちでない方が多く、電話やFAXの方が有効である場合が多い。また、HPに載せただけでお終いでいいのか?)。

 本県では、加えて、1月22日には、広く防疫会議も開いている。


 「この2例に対する県の対応は、国が定める「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」に明らかに違反しています。同指針では、確実な診断が得られるまでは農場を閉鎖し防疫関係者以外の立ち入りを禁止しなければならず・・・・・・」

 →「この2例」とは、第1例目と第6例目であろう。

 →「確実な診断が得られるまで」とは、口蹄疫を疑い、家畜の検体を国の動衛研に送付した場合である。

 この2例については、獣医師は、立ち入り検査の結果、家畜に口蹄疫の症状が見られず、従って口蹄疫を疑っていない。あくまでも下痢症状等による各種の病気(口蹄疫以外)を疑っているので、検体は送付しておらず、「確実な診断が得られるまで」には当たらない。

 

 ただ、この時点で、獣医師に対して「何故?口蹄疫を疑わなかったのか?」という疑問・疑義がもしあるのなら、それは別の議論になるだろう。獣医師は、自身の経験や知見・知識・口蹄疫マニュアル等に従い、様々な観点で、専門家として判断するので、改めて獣医師の瑕疵や過失を問うのであれば、別次元の議論となるだろう。


 他にも、「4月9日から経過観察した事例の検体を4月23日に動衛研に送付した」という事実誤認(実際は19日送付)や「宮崎県が獣医師の配置を間違えた」という根拠不明な指摘や「今からでも、ワクチン・殺処分・埋却は自衛官や警察官に依頼し・・・・」等と、現場・現実を全く把握していない指摘等も多く散見されるが、今回は、一部のみ僕の所見を述べさせて頂くに留めておくことにしたい。


 昨日の殺処分は雨にも関わらず9,400頭。現場の方々の奮闘・頑張りに感謝!

 全体の殺処分対象276,049頭。処分済230,793頭。未処分45,256頭。

 未処分中、患畜・疑似患畜分は6,285頭。この部分の殺処分・埋却を急がなければならない。同時に、新たな患畜・疑似患畜を出さないように防疫措置を徹底しなければならない。関係各位の皆様、県民の皆様、引き続き、消毒の徹底等宜しくお願い申し上げます。