福岡空港で、朝日新聞のI記者に、媚びるような、にやついた笑みで、「知事!これからも付きまとわさせて頂ます。宜しくお願いします」と、突然声を掛けられ、背筋がぞっとした。

 I記者とは、僕が、記者会見のとき、「まるでストーカー行為だ」と指摘させて頂いた記者である。

 僕は、これまで、秘書等を通じ、何度も、そういう取材の仕方は謹んで頂くように要請して来たが、全く、聞き入れてもらえなかった。

 

 先日、名古屋駅で後ろに人の気配と目線を感じ、振り向くと、そこに彼女がいた。その時も、一瞬恐怖感さえ感じた。

 彼女は僕と同じ電車や飛行機で移動しているらしい。

 一時は、僕のジョギングに着いて来たり、マンションの前で待ち伏せされたり、夜中に部屋をノックしたりしていた。周りのジョガーとかサイクリングの方々やご近所の方々に大変な迷惑だった。

 ジョギングの時など、別に直ぐに振り切ろうと思えば、振り切れたのだが、あんまり邪険にしても可哀想かな?と思い、彼女に合わせ2~3kmはゆっくり走り、それなりに軽くインタヴューや雑談に応じていた。情をかけた僕がいけなかった。


 それで、彼女は調子に乗ったのかも知れなかった。定例記者会見のとき、普段の媚びるようなあの態度とは全く違うトーンで、こちらに大上段から高飛車に傲慢に切り込んで来た。裏切られた気持ちだった。まぁ、メディアの方々にはこれまで何度も裏切られて来た(笑)。少し心を開いた僕が甘かったのだが。

 その記者会見での彼女に対する僕のイラついた応酬の様子はTV等で流され、各コメンティターから激しく批判されたらしい。

 僕の傲慢が追及されるのなら、同様に記者の傲慢も追及されなければならない。いつも、こちらが泣き寝入りしなければならないのはおかしい。

 正当な批判と傲慢な取材態度とは違うと思う。

 

 思えば、「自民党さんは、総裁候補として、今度の選挙をお闘いになるお覚悟がおありになるか?・・・・・・・・」等のあの僕の発言の仕方もそうだった。最初、普通にインタビューに答えていたのだが、記者に、「聞こえないよ!」とか、「意味が分からない!」とか、言われ、イライラして言い直した部分が何度も繰り返し、映像で使われたのだ。

 

 彼ら彼女らの魂胆は十分理解しているつもりである。相手を不愉快にさせ怒らせることはプロである。麻生首相のインタビューの様子を見ていると、そこら辺のことに大変気を遣っておられる雰囲気が痛いほどよく分かる。よく、我慢されておられるな~といつも感心している。

 しかし、毎日毎日ぶら下がりや記者会見で同じことを聞かれ、こちらがついカチンと来るような質問をぶつけられたり、誘導的な質問をされると、いい加減うんざりして、つい感情的に答えてしまう。そこを狙い撃ちされ抽出して使われるのだ。マスコミの常道といえば常道である。引っ掛かってはいけないと思いつつも、彼らの思う壺につい嵌ってしまう(笑)。一瞬だけなのだが、その一瞬が命取りになり兼ねない。まだまだ修行が足りないな~


 そうそう、I女史のことである。今日も本人に直接言ったが、結論から言うと、これ以上付きまとうのは止めて頂けないだろうか? 加えて、これまで、少なくともこちらに精神的苦痛や不快感を与えた取材姿勢・態度について、公式の場で謝罪を求めたい。

 取材は、ぶら下がりや記者会見の場で十分対応させて頂いているし、講演会や会合、イベント等は、現場で取材されればいいことではないだろうか? 何も途中ずっと付け回す必要はないのではないだろうか? それは、過剰な取材と言えないのだろうか?

 ストーカー法は、セクハラ等と同様、確か、受ける側の不快感や精神的苦痛、恐怖感、危険等からの心身の保護を対象にしていると思う。