◯ 本日、私たちの最大手の海外のお客様が来られた。今日、東京を出てすぐにシンガポールに行き、その後、インド、そしてロシアに行くということだった。世界中に私たちのような資産運用会社に資金を預けて世界中に投資をしている。

◯ 彼は私たちに聞いた。「日本の競争力は失われていないのか。中国との競争に勝てるのか。世界に伍して戦っていけるのか。円高でも大丈夫なのか。日本人は自信を失っているように見えるが大丈夫か」
質問に答えている間、じっとこちらを見ている。この人間は本当のことを言っているのか。本当にそう思っているのか。言っていることは正しいか。プロとして論理的か。人間としての狂いはないか、ということを明らかにみていた。

◯ 投資先企業に対しても細かく質問をしてくる。「その会社の競争優位はどこにある?」「その競争優位は破られないのか」「中国企業や韓国企業などの追い上げにあわないのか。彼らは強敵だぞ。」

◯ 「よい会社に投資をしているのはわかった。ならば、そのよい会社でかつ割安な会社に投資をしていたとしても何がきっかけでその割安な株価が修正されて株価が上昇するのか。それはなにでいつ起きるのか」

◯ 手厳しい質問をしてから彼らはにっこり笑って帰っていった。彼らは日本の成長や未来を信じてくれている、少なくとも私たちの話を信じてくれた。今は日本の年金資産の担当者は言う。「日本株に投資をするなんてもう無理ですよ。上が首を縦にふりません」 確かにそういう現状はよくわかるが、だが日本の年金資金が日本を諦めたらどうなるのだろう。逆にいえば、私たちの日本のここからの長期的な成長を信じて短期的に株価が下がってもそれでも信じてくれる彼のような存在に報いなければいけない。少なくとも「世界の先進国の中でこんなに成長エンジンである新興アジアの企業に近い日本が恩恵を受けないはずはないだろう」という彼らの読みにいろいろな意味で期待に応えたいと思った。