我が家に起きた奇跡(2) | 『知は力なり』私が学んだことの備忘録

『知は力なり』私が学んだことの備忘録

自分の独断と偏見でランダムに学んだことの気付きを書き残してまいります。

前回、10年前に約1200万円ぐらいの
借金が我が家にあった事、そしてその極限
の状態になって初めて


「親も助けられない人間が弁護士になって
 人様を助けられるわけがない」


という真実に思い至った事までを書き記して
きました。


そして今回は、この真実に思い至るまでに、
私の心の内側で起こった奇跡について書いて
みたいと思います。


前回もお話しましたが、この当時私は司法試験
の勉強をしていました。


平成15年当時は、ちょうど司法試験の制度が
旧来の一発勝負の試験からロースクールへ移行
する、言わば制度の変革の過渡期にありました。


「司法制度改革」の目玉の一つとして、、
「日本にもっと多くの法律家を増やそう」と
というスローガンのもとにロースクール構想
が着々と進められている最中でした。


ロースクールのスタートは平成19年?だったと
思いますので、平成15年当時は従来試験では
ありましたが、合格枠が依然より約3倍ぐらい
広がっていました。


ただ、ロースクールが始まってしまうと従来試験
の枠は15年当時からすると10分の1に減らさ
れてしまう予定になっていました。


ですから、どうしてもロースクールがスタート
する前に私は合格したかったのです。


「それならロースクールに行けばいいのでは?」


と、お思いになる方もいらっしゃるかとは思い
ますが、これは私にとっては事実上不可能な状況
でした。


なぜなら、このロースクールは授業料がとにかく
高額なのです。


年間約200万円。


家が借金で追われているのに、その上この授業料
はとても払える金額ではありませんでした。


このような状況下にありましたので、ロースクール
がスタートしてしまうまでに何とか合格を勝ち取り
たかったのです。


私の事情はこのような感じでありましたから、

「父ちゃん、おれが合格するまで、なんとか持ち
こたえていてくれ。」という祈るような思いで

毎日を過ごしていました。


しかし、現実は思い通りにはいかないもので、
とうとう限界に達してしまいました。


この時の正直な思いは
 
 「勘弁してくれよ!!」
 「冗談じゃないよ!!」


と本気で思っていました。


「おれは知らん、父に全部責任をかぶせて
しまおうか!」


なんて本気で思っていました。


しかし、その思いがよぎった時、私の中にある
記憶が駆け巡り、それと同時に


「おれなんて事をしようと思っていたのか」


と自分が怖くなってしまいました。


その「ある記憶」はなにかと言いますと、

「母の兄にあたるおじさんの家で起きた悲劇」

でした。


この悲劇はどのようなものかと言いますと、
おじさんの家族ではおじさん一人を悪者に
して責任をおじさん一人に押し付けて、家族
全員でおじさんを放り出しまったのです。


確かに話を聞く限りで、一番責任があるのは
ギャンブルにはまり、借金に追われる原因を
作ったおじさんでした。


しかし、おじさんをそこまで追い込んだ原因
の一つに家族の冷たい対応があった事も厳然
たる事実でした。


その状況を見た時、このおじさん家族たちを


「おじさん一人責任をかぶせてなんてひどい
連中だ」


と私は強く非難していました。


ところが、いざ自分の家で困難に直面した時、
私は非難していたおじさん家族と全く同じ事
をやろうとしていたのです。


「おまえも同じじゃないか!というより
偉そうなことを言ってる分、よけいにひどい」


この思いが私の全身を駆け巡り、全身の血の気
が引いた
のを今でもはっきりと覚えています。


と、同時に

「野球が好きだと言えば球場に連れて
 行ってくれた」ことや

「大した能力もない私が司法試験を受験すると
 言い出したときにも『がんばれ』と言って
くれた」


ことなどを思い出した時にはもう、いてもたっても
いられなくなっていました。


「ごちゃごちゃ言っている場合じゃない!。
とにかく父を助けるぞ」


と、気付いた時にはものすごく熱い思いが全身
から湧き上がってきてのを今での鮮明に思い出せ
ます。


ど同時に「弁護士を目指すものとして、まず
するべきは家族再生だ」
と心の底からに思う事が
できたのです。


このような思いに至ることができた事

これこそが、私の中に起こった奇跡です。


この時、もしこのような思いに至らずに借金の責任
をすべて父に押し付けていたらと思うといまでも
「ぞっと」します。


このように、奇跡というのは「誰かに起こしてもらう
のではなく、自分の内側から起こすもの」
なのだと
確信しています。


この後、さらに様々な出来事の遭遇する訳ですが、
私のとっての一番の奇跡は実はこの「父を助けるぞ」
と素直に思えた事
です。


「内なる自分が指し示すもの」

ここに従うとき、人はものすごい奇跡を起こします。

この決心以降に起きる出来事は正にその連続でした。


その奇跡も実は内側が示してくれたものばかり
なのですが、そのお話はまた次回とさせて頂きます。


それでは、今回も最後までお読み頂き本当にありがとう
ございました。


次回「我が家に起きた奇跡(3)」はこちら