昨日(4日)、最高裁は、「婚外子(結婚していない男女間に生まれた子)の法定相続分は、婚内子(結婚した男女間に生まれた子)の2分の1」としている民法の規定が憲法に違反するとの判決を出した。当該規定が「法の下の平等」を定めた憲法に違反するという理由からだ。

(婚外子相続差別問題)

 「最高裁の違憲判断は遅きに失した」と思うが、「婚外子相続分の同等化」は、実は、平成8年の法制審議会(法務大臣の諮問機関)が既に民法改正要綱に盛り込んでいる。にもかかわらず立法化が遅れたことについては、立法化に反対してきた政治家は責任を感じるべきだ。

この点に関して今鮮明に思い出すのは、2000年6月に衆議院議員に初当選した当選同期の水島広子さん(当時34歳)のことだ。現在は精神科医として活躍している彼女は、初当選した直後の同年7月の衆議院本会議での代表質問で、この問題を取り上げた。

その後、彼女が衆議院予算委員会の分科会で質問する場面に私は遭遇した。彼女が「何の責任もなく生まれてきた子供をなぜ差別するのか」と厳しく迫っていたことに新鮮味を感じた。彼女の立論を、当時の彼女のインタビューから引用してみたい。

『今の法律で差別されているのは子どもなのに、「正妻の立場を守るため」なんてズレた理屈で正当化されているのはおかしい。不倫がいけないというのなら、不倫防止法でもつくればいいのであって、何の責任もなく生まれてきた子どもを差別するのは間違っている。』

ようやく最高裁の違憲判決が出て、これから立法化が進展しようとしていることに、彼女は今どんな思いをしているだろうか。

(夫婦別姓問題)

ところで、上記の平成8年の法制審議会の民法改正要綱には、選択的夫婦別氏(別姓)を認める改正案も盛り込まれている。にもかかわらず、婚外子相続差別問題と同様、一部の強硬な反対派議員の存在によって、これまで立法化が進まなかった。

国際的にみれば、夫婦同氏が義務付けられている国は少数である。国連の女子差別撤廃委員会は、2009年8月、「選択的夫婦別氏制度を採用する民法改正のために早急な対策を講じるよう締約国に要請する。」と勧告している。

日本と同様に長年同氏制を維持してきた独は、1993年、同氏制を原則としながら別氏の選択も認める法改正を行っている。家制度の厳格な韓国では、男女問わず婚姻後もそれぞれの父系名を名乗る夫婦別姓だが、2005年改正により、子の姓の取扱いは弾力的になっている。

自分(水島広子さん)の子供の氏を選ぶために離婚・結婚を同夫婦間で数度繰り返した水島広子議員(当時)は、夫婦同氏制度についても上述の代表質問で取り上げた。その彼女の立論を、同じく、彼女のインタビューから引用したい。

『反対派の人たちの言う「夫婦が同じ姓でないと、生まれてきた子どもがかわいそう。いじめられる」という理屈もおかしい。「じゃあ、中国のように父母の姓が違う国では、逆に同じ姓ならかわいそうなんですか、いじめられるんですか」と話していくと、30分もあればだいたい説得できますよ。』

夫婦別氏問題についても、今回の最高裁判決をきっかけに、改めて国民的な議論をすべきではないか。

(了)