本日、鳩山政権で初めての当初予算となる平成22年度予算の閣議決定が行われました。当初予算としては最大規模の92兆円余の予算となりましたが、この予算の中には、米軍岩国基地関係の予算が含まれています。その中で、岩国市民の皆さんにとって特に関心の高いのが、米軍再編(空母艦載機の厚木から岩国への移駐)予算で、防衛省所管で約470億円(契約ベース)、国土交通省で約20億円(民空関係)ありました。

 一般的には、予算が計上されることは有難いことなのですが、今回の予算計上には、大いに問題があります。特に、愛宕山用地買取経費約200億円については、地元の住民の皆さんに事前に何らの説明の機会が設けられることもなく計上されました。ある記者から、以前「前政権時代に既定路線になっている」と聞いたことがありますが、地元住民の皆さんへの説明もなく、官僚が敷いていた路線をそのまま踏襲してしまったと言えると思います。

 私としては、新政権発足時に21項目の要確認事項(「空母艦載機の移駐問題に関する要確認事項」、9月30日付の「今日の一言・在日米軍再編見直し」に掲載)を防衛大臣、外務大臣等に提示して検証を求めていたにも拘らず、このような事態に至ったことを大変申し訳なく思っています。そして、今回の件については次の通りコメントさせて戴くこととし、防衛省及び外務省の政務三役(大臣、副大臣、大臣政務官)にも伝えました。

1、
民間空港再開に必要な事業に係る予算計上は、政府も「空母艦載機の受入れが条件となっているものでない」ことを認めているところであり、米軍再編問題発生のずっと前から地元の要請であったことに応えるものと理解している。

2、
しかしながら、空母艦載機移駐関係の予算(特に、愛宕山地域開発の土地買取り、岩国基地内施設整備等)については、私が新政権発足時に21項目の要確認事項(「空母艦載機の移駐問題に関する要確認事項」)を防衛省及び外務省に提示し回答を求めていたにも拘らず、地元住民の皆さんに対する説明の機会を作ることもなく今回多額に計上されたことは、極めて遺憾である。

3、
地元住民の皆さんに対する説明の機会が新政権発足後今日まで作れなかったことは、政府が普天間基地の移転先問題に奔走していたこともその原因の一つであると思われるが、説明の機会がこれまで十分に作れなかったことからすれば、今回の空母艦載機移駐関係予算は、辺野古関係予算と同様、「計上はするけれど執行は見合わせる」とすべきである。

4、私としては、「空母艦載機移駐関係予算は、21項目の要確認事項に関する説明も含め、あくまでも地元住民の皆さんに対する説明責任が果たされた後でなければ執行すべきではない」と考えており、政府に説明責任を果たすための行動を速やかにとるよう強く要請したい。』

 防衛大臣は、予算の閣議決定前ではありましたが、「できる限り早い機会に、地元の皆さんに説明をする機会を持ちたい。」との意向を示していましたので、是非その機会を早く作りたいと思っています。


 ところで、上記の21項目の要確認事項については、昨日(24日)、防衛省から「回答」をもらいました。末尾に添付していますのでご覧になって戴きたいと思いますが、はっきり言って、「これまでの政権が行ってきたことを正当化しよう」という意識が強く出すぎており、新政権の防衛省・外務省の政務三役による十分な検証がされていないのではないか、と私は思っています。

 例えば、「厚木から岩国への移駐は日米両国のどちら側からの提案か」の問に対して、「日米のどちらかが提案したというものではない」(1、(1)①)と回答していますが、守屋・元防衛事務次官は、07年11月号の「月刊現代」で、「岩国への移駐は自分(守屋)の発案であり、当時の国務次官補が、『それは良い案でやってみる価値がある』と言った」旨の記述を行っています。その事実を全く知らない素振りです。

 また、「岩国への移駐以外の選択肢はあり得ないのか」の問に対しては、防衛省が自分達で勝手に条件を作って「他の基地においてこれらの条件を満たしているところは、存在しませんでした」(1、(1)②・③)と回答しています。私が具体的に尋ねた「グアム」については一応の説明があるものの、現在、空母艦載機の夜間離発着訓練を行っており、かつ、これらの条件を満たしていると考えられる「硫黄島」についての言及は全くありません。

 更に、「防衛省が岩国市役所建替え経費の補助金をカットしたこと」についての質問に対し、「4 最後に」で「強引な方法により、市民の間に混乱や迷惑をかけたり、行政に対する不信感を募らせるようなことは決してあってはならないと考えています。」と言いながら、他方で、そのカットを正当化するための言い訳を展開しています(1、(2)①)。岡田外務大臣が10月27日の記者会見で防衛省の補助金カットのやり方を批判しているにも拘らず、です。

 更に、「愛宕山用地の買取り要請に応じる場合、その土地利用策定はどのように行うつもりか」との問に対しては、「買取り後の土地利用は地元の意向も十分考慮して、決定することとしています」(2、(2)①・②)と回答していますが、その前段で「買取の経緯」を述べる中で、「米軍家族住宅用地としてなら、山口県と岩国市からの買取り要請に応じる」ものであることを明らかにしています。

 いずれにしても、普天間基地の移設問題で多大の時間と労力を費やしてしまった新政権ですから、岩国への空母艦載機移駐問題については、今から本格的な検証を行ってほしいと思っています。その観点からも、政府による現地の住民説明をできる限り早く実現して行きたいと考えています。

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