マジすか学園3☆#1ー2☆
「関西連合?なんやねん!それ」
大阪市内の総合病院の一室。
面会謝絶がとかれ、見舞いに来ていたサヤが、ようやく、傷ついたNMBーZ(ナンバーズ)のメンバーの病室にはいることができた。サヤが引き継ぎをした、現在の“頭”である。
「ウチが、こんなミイラみたいになったんは、あの憎たらしいDIVA(ディーヴァ)に、やられたからなんやけど…」
大阪最大のレディースチーム。
《DIVA》ディーヴァ
構成員1000名強。
残虐を絵にかいたような、喧嘩命の強者が揃っている。大阪で逆らう者は、だれひとりいなかった。
ただ、ひとつー
サヤ率いるチーム、NMBーZだけが、孤軍奮闘、反旗を翻していた。
しかし、サヤがいないときを狙われ…
「…やつら、こっそり、近隣の県の最強のチームと同盟を組んだり、吸収合併を繰り返したりして、虎視眈々とちからを蓄えとったんや」
「ちっ!あいつら…、コソコソしくさりやがって!」
「これまで、日本のヤンキーの勢力図は、西のディーヴァ、東のアンダーガールズによって、いい意味で、秩序が保たれとった…。小競り合いはあったけど、大きな戦争にまで発展することはなかった。下手に動けば、お互い、かなりの戦力が削がれ、勝ったとしても、代償が大きすぎるからな…。しかし、その均衡が崩れる事件が起きた…。サヤ、お前も、よう知っとる…」
「新宿か…」
「そうや…。あの事件…、マジ女によって、手痛いダメージをアンダーガールズは受けた。つまり、いまが狙い時ってことや…関東進出、イコール日本の頂点を奪るためのな…。標的は、アンダーガールズの残党…、そして…」
話を聞き終える前に
サヤは、血相を変え、部屋を飛び出していった。
(あっちゃん…、みんな…)
東京ー
「やんのか!?てめー!」
ヲタが、立ち上がり、関西弁の少女に凄む。
少女は、それを物怖じすることもなく、全身で受け止めていた。
他の者も、いつでも動ける態勢で、状況を見つめる。
空気が冷たく感じるのは、陽が沈む直前だからというわけではないようだ。
静寂が辺りを支配したー
後。
「はははは!やっぱり、東京モンは、シャレが通じんなー。ウチの名前は、キノハル。キノハルって、呼んでや」
「そのまんまやないか!」
だるまが、思わず、口を挟んだ。
「いいツッコミや。ベタやけどな。別に今日は、喧嘩しに来たんとちゃう。ほな、またな」
幼顔の少女は
背中を見せ、その場を去ろうとして、立ち止まる。振り返り、口をモグモグしながら
「ごちそうさん!」
とだけ言って、キノハルこと木下ハルナは、消えた。
七輪の上のホルモンが、いつの間にか、一つ、なくなっていた。そんな動き、素振りも見せず。
呆気にとられる一同。
七輪の中に、くすぶり燃え続ける炭を眺めやるバンジー。
「似てる…あのときと…」
(また…、何か、始まるのか…。それとも、もう、すでに…)
始まっているのかー。
「なんだったんだ、一体!?」と、皆が不思議がっていると、
今度は、ラッパッパの四人ー昭和、アニメ、ライス、ジャンボがあらわれた。神妙な顔つき。
「前田さん…、ちょっと、いいですか?」
顔を貸してほしいと、言っているようだ。
前田は、箸を置き、四人の後につづいた。
夕陽が沈んでいく。
校門前ー
「キノハル!勝手なことすんなって、言われとるやろ!」
長身の少女が、キノハルをたしなめる。キノハルと同じグレイの制服。
「ちゃうちゃう。ホルモンご馳走になっただけや…」
「他県のチームとの足並みも揃えんと…、いろいろ面倒やろ…」
お目付役といったところの長身の少女に
馬耳東風なキノハル。
「ホルモンもいいんやけど…、やっぱ前田や…、いい目つきしとったなぁ…。あいつは…、絶対おれが喰うで!
Dの名の下に…な」
「Dの名の下に…」
つぶやく。
二人は、そのまま、夕闇に溶けるように、消えていった。
遠くの空に、春雷が轟いていた。
大阪市内の総合病院の一室。
面会謝絶がとかれ、見舞いに来ていたサヤが、ようやく、傷ついたNMBーZ(ナンバーズ)のメンバーの病室にはいることができた。サヤが引き継ぎをした、現在の“頭”である。
「ウチが、こんなミイラみたいになったんは、あの憎たらしいDIVA(ディーヴァ)に、やられたからなんやけど…」
大阪最大のレディースチーム。
《DIVA》ディーヴァ
構成員1000名強。
残虐を絵にかいたような、喧嘩命の強者が揃っている。大阪で逆らう者は、だれひとりいなかった。
ただ、ひとつー
サヤ率いるチーム、NMBーZだけが、孤軍奮闘、反旗を翻していた。
しかし、サヤがいないときを狙われ…
「…やつら、こっそり、近隣の県の最強のチームと同盟を組んだり、吸収合併を繰り返したりして、虎視眈々とちからを蓄えとったんや」
「ちっ!あいつら…、コソコソしくさりやがって!」
「これまで、日本のヤンキーの勢力図は、西のディーヴァ、東のアンダーガールズによって、いい意味で、秩序が保たれとった…。小競り合いはあったけど、大きな戦争にまで発展することはなかった。下手に動けば、お互い、かなりの戦力が削がれ、勝ったとしても、代償が大きすぎるからな…。しかし、その均衡が崩れる事件が起きた…。サヤ、お前も、よう知っとる…」
「新宿か…」
「そうや…。あの事件…、マジ女によって、手痛いダメージをアンダーガールズは受けた。つまり、いまが狙い時ってことや…関東進出、イコール日本の頂点を奪るためのな…。標的は、アンダーガールズの残党…、そして…」
話を聞き終える前に
サヤは、血相を変え、部屋を飛び出していった。
(あっちゃん…、みんな…)
東京ー
「やんのか!?てめー!」
ヲタが、立ち上がり、関西弁の少女に凄む。
少女は、それを物怖じすることもなく、全身で受け止めていた。
他の者も、いつでも動ける態勢で、状況を見つめる。
空気が冷たく感じるのは、陽が沈む直前だからというわけではないようだ。
静寂が辺りを支配したー
後。
「はははは!やっぱり、東京モンは、シャレが通じんなー。ウチの名前は、キノハル。キノハルって、呼んでや」
「そのまんまやないか!」
だるまが、思わず、口を挟んだ。
「いいツッコミや。ベタやけどな。別に今日は、喧嘩しに来たんとちゃう。ほな、またな」
幼顔の少女は
背中を見せ、その場を去ろうとして、立ち止まる。振り返り、口をモグモグしながら
「ごちそうさん!」
とだけ言って、キノハルこと木下ハルナは、消えた。
七輪の上のホルモンが、いつの間にか、一つ、なくなっていた。そんな動き、素振りも見せず。
呆気にとられる一同。
七輪の中に、くすぶり燃え続ける炭を眺めやるバンジー。
「似てる…あのときと…」
(また…、何か、始まるのか…。それとも、もう、すでに…)
始まっているのかー。
「なんだったんだ、一体!?」と、皆が不思議がっていると、
今度は、ラッパッパの四人ー昭和、アニメ、ライス、ジャンボがあらわれた。神妙な顔つき。
「前田さん…、ちょっと、いいですか?」
顔を貸してほしいと、言っているようだ。
前田は、箸を置き、四人の後につづいた。
夕陽が沈んでいく。
校門前ー
「キノハル!勝手なことすんなって、言われとるやろ!」
長身の少女が、キノハルをたしなめる。キノハルと同じグレイの制服。
「ちゃうちゃう。ホルモンご馳走になっただけや…」
「他県のチームとの足並みも揃えんと…、いろいろ面倒やろ…」
お目付役といったところの長身の少女に
馬耳東風なキノハル。
「ホルモンもいいんやけど…、やっぱ前田や…、いい目つきしとったなぁ…。あいつは…、絶対おれが喰うで!
Dの名の下に…な」
「Dの名の下に…」
つぶやく。
二人は、そのまま、夕闇に溶けるように、消えていった。
遠くの空に、春雷が轟いていた。