マジすか学園2☆ #10
月明かりに照らし出された、部屋の一隅には、身の丈2メートルをゆうに越え、横幅も1メートルはあろう、体重200キロ超の巨体が、丸太のような両手両足首を太い鎖につながれ、天を仰いで立っていた。
髪はボサボサで、腰まで伸ばしっぱなし。顔や腕は生傷だらけで、血のあとが、全身に飛び散っていた。囚人のような服も、血まみれで、
化け物と呼ぶに相応しい様相だが、性別は女子で、人間である。名前は、シノブ。
両手両足と壁につながれている四本の鎖は、それぞれの鎖の長さが三メートルはあり、自由度はそれなりに高い。部屋から出なければ良しとしてるのか。
唸り声を上げて両の拳で、分厚い胸板を叩いている。こちらに気付いている様子はない。
「あ、あいつがもしかして十人衆か?」
ヲタが、振り向いて、前田に尋ねる。
「たぶん…」
前田が神妙に、うなずく。
「まるで、キングコングだな」と、バンジーが評した。
「いや、クラッシャーバンバンビガロだろ」
「そんな、マイナーなプロレスラー知らねーよ。クラッシャーバンバンビガロって、言いてーだけだろ」
「じゃあ、ボブサップ」などと
バンジーとアキチャが、くだらない言い争いをしているとき、
ウナギが、
「この、散らばってる犬の死骸って、ま…まさか…」
と
震えながら、言った。
ムクチが答えようとしたとき、
ヲタが、「ああ、あいつの仕業だろうな」と答えた。
生きたままの野犬が、シノブの餌なのだ。
「ウガァ!」
一瞬の出来事だった。
たしかに、油断は、あったかもしれない。
しかし、警戒していても、身を、かわせたかどうかは、わからない。
先頭にいたヲタが、シノブの電光石火の体当たりを食らい、コンクリートの壁に、ふきとばされた。
「ヲタ!」
本部ビル最上階、司令室モニター前には、ソファに座るアカネと、その傍らに立ち、ゲームを見守るマサナの姿があった。
「シノブのやつ、機嫌わるそうだな。まあ、あんま、機嫌いいってのは、見たときねーけど」
「とくに、彼女は、人間の匂いが嫌いですからね。久しぶりの人間との対面。野性が目覚めたのかもしれません。幼い頃、山に捨てられた折の記憶が…」
「野獣の一撃か…」
「フフ…、前田軍団、残り…あと5人」
マサナは、酷薄な表情で、ヲタの戦線離脱を宣した。
髪はボサボサで、腰まで伸ばしっぱなし。顔や腕は生傷だらけで、血のあとが、全身に飛び散っていた。囚人のような服も、血まみれで、
化け物と呼ぶに相応しい様相だが、性別は女子で、人間である。名前は、シノブ。
両手両足と壁につながれている四本の鎖は、それぞれの鎖の長さが三メートルはあり、自由度はそれなりに高い。部屋から出なければ良しとしてるのか。
唸り声を上げて両の拳で、分厚い胸板を叩いている。こちらに気付いている様子はない。
「あ、あいつがもしかして十人衆か?」
ヲタが、振り向いて、前田に尋ねる。
「たぶん…」
前田が神妙に、うなずく。
「まるで、キングコングだな」と、バンジーが評した。
「いや、クラッシャーバンバンビガロだろ」
「そんな、マイナーなプロレスラー知らねーよ。クラッシャーバンバンビガロって、言いてーだけだろ」
「じゃあ、ボブサップ」などと
バンジーとアキチャが、くだらない言い争いをしているとき、
ウナギが、
「この、散らばってる犬の死骸って、ま…まさか…」
と
震えながら、言った。
ムクチが答えようとしたとき、
ヲタが、「ああ、あいつの仕業だろうな」と答えた。
生きたままの野犬が、シノブの餌なのだ。
「ウガァ!」
一瞬の出来事だった。
たしかに、油断は、あったかもしれない。
しかし、警戒していても、身を、かわせたかどうかは、わからない。
先頭にいたヲタが、シノブの電光石火の体当たりを食らい、コンクリートの壁に、ふきとばされた。
「ヲタ!」
本部ビル最上階、司令室モニター前には、ソファに座るアカネと、その傍らに立ち、ゲームを見守るマサナの姿があった。
「シノブのやつ、機嫌わるそうだな。まあ、あんま、機嫌いいってのは、見たときねーけど」
「とくに、彼女は、人間の匂いが嫌いですからね。久しぶりの人間との対面。野性が目覚めたのかもしれません。幼い頃、山に捨てられた折の記憶が…」
「野獣の一撃か…」
「フフ…、前田軍団、残り…あと5人」
マサナは、酷薄な表情で、ヲタの戦線離脱を宣した。