どこが安心 | 池上秀司のブログ

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さて、毎年恒例(?)ですが、日本経済新聞2012年2月1日の記事を検証しましょう。公開されて6年前経ちます。わかりやすくいえば、変動金利のネガティブキャンペーンの一環でしたが、明らかに間違いでした。

 

低金利「固定」で安心 住宅ローン活用術(上) 「変動」上昇後は注意、返済計画の熟考を

 

「金利が低い時期にお金を借りるなら、長期固定金利にすべきだ」と指摘する専門家は多い。

 

ただ変動金利型の住宅ローンは注意点が多い。FPの深田晶恵氏は「金利が上がれば利息が増えるほか、返済計画の先が読めなくなる」と話す。

 

借入金額を4,000万円、35年返済、変動金利0.875%、全期間固定2.4%で比較してみます

 

 

 

 

ただ金利が上がると元金返済のペースが当初の予定より遅くなる

 

上記を変動金利のデメリットのように扱っていますが、これが全期間固定のデメリットです。借り始めから返済額が約3万円多いのに、利息負担が多く元金が減りません。この6年間で、218万円多く支払っているにもかかわらず、残高は130万円も多く残っています。その差の合計は、たった6年で348万円にもなってしまいました。

 

 

これの、どこが安心なのでしょうか。将来の金利上昇だけに着目し、目の前の金利上昇を見逃しています。変動金利のネガティブキャンペーンに加担し、消費者に損をさせる方向に誘導したのですから、ここに出てきた数人のFPはプロ失格です。

 

こういう記事にFPが関わり、消費者が損をしているのに野放しになっているというのが現状ですので、メディアとそこに登場するFPを信じないようにご注意ください。