変動金利に関するダメ記事 2 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

またもや不適切な記事を発見しました。

繰り上げ返済があだに…住宅ローンが引き起こす老後破産

不動産コンサルタントの長嶋修さんという方の以下のコメントをご確認ください。

「いますでに変動金利で借りている人は金利動向に注目しましょう。アベノミクスがこのまま成功し、景気が回復すると、インフレ目標の2%が達成され、3~4%の金利上昇もありえます。また失敗したとしても国債の信用が落ち、どのみち金利上昇が起こります。2~3%の金利上昇で支払い不能に陥ってしまうケースもあります」

政府が目指しているのは「緩やかな景気回復」であり、その指標を「+2%」としています。変動金利は日銀の政策金利に連動している訳で、日銀の仕事は金融政策を実施の際は物価の安定を図ることと日銀法で規程されています。2008年当時の消費者物価指数は今より2%高い水準でしたがその当時の変動金利(店頭金利)は今より0.4%しか高くありません。これらから鑑みて、インフレ目標が達成されたからといって変動金利が3~4%も上昇すると考えるのは妥当でしょうか。私にはまったくそうは思えません。

それこそ、長嶋さんからは屁理屈レベルでもいいのいですが、その根拠が一つも提示されていません。「この売り場で買えば年末ジャンボ宝くじが当たるかもしれません」といっていると同レベル。大変無責任なコメントです。

また失敗したとしても国債の信用が落ち、どのみち金利上昇が起こります。2~3%の金利上昇で支払い不能に陥ってしまうケースもあります

「国債が暴落して金利上昇がーーーーーーー」とずっていわれていますが、その間、国債の金利は下がっています。下記過去10年の推移を見れば小学生でもわかります。なにより、国債は長期金利、変動金利は短期金利です。長期金利と短期金利の区別がついていません



「6年目以降の金利見直しには、どれだけ上がっても125%が返済額の上限という仕組みとなっていて、月額10万円を返済していたとしたら12万5千円。ただ、この見直しが2回続くと15万6千250円になり、かなり厳しい」

これは以下の記事の中盤以降に掲載していることです。返済額125%上昇が2回も続くというのは、今後日本の10年は超スーパーウルトラバブルに突入するということ。おめでたいです。

無料であっても

いますでに変動金利で借りている人は金利動向に注目しましょう。

日銀が金融緩和の拡大をし、政府が景気悪化を懸念して消費増税を延期を表明した今、なぜ「金利上昇が」となるのでしょう。どう考えても今は上がりににくくなったのです。これらの重大な金利に関する情報をまともに提供できていない長嶋さんこそが金利動向に注目するべきです。なお、本文中変動金利から固定金利への変更を推奨していますが、それについては以下をご確認ください。「返済額が上昇するのに利息が増加し、元金返済が鈍くなる」という重要なことに触れていませんのでお話になりません。

メディアが教えてくれない本当の住宅ローンの話③【利息・元金・残高編】

このように、最近は今まで以上に住宅ローンに関する記事はどうしようもないデタラメばかりになっています。長嶋さんにおかれては、住宅ローンに関して発言するだけの資質を備えていません。相変わらず似非専門家ばかりですので、消費者の皆さんは、くれぐれもご注意ください。