PRESS RELEASE
2010年9月25日
フォーミュラBMWパシフィックシリーズ第11戦決勝
桜井孝太郎選手、宿敵カルロス・サインツJr選手と接触し、ミッション・トラブルで無念の5周リタイアに終わる。

各位

9月25日、シンガポールF1グランプリのサポートイベントとして開催された『フォーミュラBMWパシフィックシリーズ2010 第11戦決勝』に、日本人最年少BMWスカラシップドライバー、16歳の桜井孝太郎(さくらいこうたろう)選手が参戦。予選3番手からのスタートでしたが、レース1周目の接触によって発生したミッション・トラブルが原因で、残念ながらリタイアに終わりました。

桜井選手にとって、初の市街地サーキットでのレース。しかし午後からの雨が路面を濡らし、決勝前には天候は回復したとはいえ、コースの大半がウェット・コンディションという、難しいレースとなりました。


ダウンフォースを減らし、ストレートスピード重視のセッティングを選んだ桜井選手とは対照的に、ポールポジションのD.クビアト選手はハイ・ダウンフォースのセッティング。桜井選手の後方のO・タンジオ選手もハイ・ダウンフォース仕様でのスタートでした。

「滑りやすい路面でリスクを取ったブレーキング勝負ではなく、立ち上がり重視でいけ」とウィリアムズでのエンジニア経験を持つチーフ・エンジニアのグレッグと作戦を練り、セパンに続く表彰台を狙った桜井選手。スタートはまずまずで、ポジションキープのまま第1コーナーをクリア。第2、第3コーナーでは執拗にイン側からO・タンジオ選手、C・ウォン選手に攻められながらも巧みにブロック。しかし開幕戦からの宿敵ともいえるカルロス・サインツJr選手が、後方から素晴らしいスタートを見せ、アウト側から大外刈りで一気にポジションをアップ。そのまま桜井選手の後方につけて、続く高速の第4コーナーでインから桜井選手のボディサイドに激突。弾き飛ばされた桜井選手はなんとかコース上にとどまったものの、7番手までポジションを落としてしまいます。

しかし、続く第5コーナーで、今度は前を行くD・ソフィアン選手とC・サインツ選手がチームメイト同志で絡むようにスピンアウト。桜井選手はふたつポジションを取り戻して5番手で1周目のコントールラインを通過しました。

ところがストレートを通過しながら、「ギヤがおかしい。シフトダウンでバランスが狂うし、シフトアップが思うようにできない」と無線で叫んできた桜井選手。そのままマシンを騙しながら周回を重ねていきましたが、残念ながらシフトアップが不能となり、5周を終えた時点でピットに戻り、そのままリタイアとなりました。


1周めのカルロス・サインツJr選手との接触が原因で、ドライブシャフトを通じて、その衝撃がミッションの一部を壊していたのです。


レースはポールポジションのD・リキアド選手が1周めの第5コーナーでコースアウトし、その隙をついてトップに立った地元シンガポールのR・ブラードレイ選手が最終ラップまで逃げ続けていましたが、最後の最後に勝負強さを見せたD・リキアド選手が接触しながらのオーバーテイクで逆転チェッカー。3位にはC・ウォン選手が入りました。


 レース4時間後、長い審議の末、この行為に対してD・リキアド選手にレース結果に5秒加算、第12戦の5グリッド降格のペナルティが言い渡され、優勝はR・ブラードレイ選手のものとなりました。


●桜井孝太郎選手のコメント
「スタートはまずまずでしたが、前の2台を抜くには至りませんでした。それでも3番手で後方をブロックしながら前を目指したのですが、3コーナーの立ち上がりで2台がイン側から飛び込んできて、接触を避けながらもその2台をブロックしていたら続く4コーナーでカルロス選手が思いっきりイン側から飛び込んできて、激しい勢いで接触。ドーンと飛ばされて、なんとかマシンを立て直した時には7番手まで落ちていました。信じられなかったですけど、ヨーロッパでは日常茶飯事みたいです。僕のマシンが壊れるように当てて、自分のマシンは壊さない(笑)。セパンでは僕も最終ラップの最終コーナーで同じようにカルロス選手を抜いたから、今回は悔しいけれどやり返されましたね。その接触のおかげでミッションが壊れ、5位まで追い上げたけど、どんどんミッションの状態が悪化してきたので、レースを諦めるしかなかったです。それでも、最初の4周の間はマシントラブルにもかかわらず、トップのリチャード選手と同じラップタイムで走れていたから、明日はきっと頑張れると思います。チームメイトのリチャード選手が母国で優勝を飾れたことを祝福するとともに、僕自身はこの悔しさをバネに、明日の第12戦の決勝は、4番手グリッドから表彰台を狙います」