★卑劣な犯人に踊らされる「警察の今」でわかったこと | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。


さてさて、困ったものだ。
“遠隔操作の犯人”に警察やメディアが踊らされている。
「まるで警察が犯人に遠隔操作されているみたいだな」
朝刊を見ながらそんなことをつぶやいたら、長男が「これほど供述がくるくる変わるのは、警察がどれくらい強引に誘導しているかってことだね」と、つぶやいた。
まさにそのことは、僕が言いたかったことの一つだ。
真犯人が“犯行告白メール”を送ってこなかったら、無実の罪で逮捕された人が4人もいることを、僕らは知らないままに終わっただろう。
朝日新聞の1面記事を読むと、警察が今も“日常的に”容疑者を「自供」に追い込む姿が見て取れる。


都内の幼稚園と有名子役に脅迫メールを送ったとされた福岡市のAさん。
自宅捜索でPCに子役あての文面が残っていたために追及され、あっさり自供。
東京に身柄を移された後、「同居する女性の犯行と思い、かばうために認めた」と否認に転じた。
しかし、女性が関与を否定するとまた容疑を認めた。
「就職活動に失敗し、いらいらしてやった」と動機も語り、メール送信の具体的な方法なども上伸したという。


この流れ、なんだか変だ。
女性をかばうつもりで罪をかぶったなら、女性が関与を否定すれば否認を貫くのがふつうだ。
ところが逆に再び容疑を認めてしまっている。
支離滅裂だ。
しかしこの支離滅裂ぶりはAさん側の要因によるのではないのだろう。
警察の誘導によると考えた方が合理的だ。
真犯人でない者は犯行の“具体的な”態様など思いつきようもないのだから。


神奈川県警でも同様に、容疑者とされた男性は上申書を書かされている。
大阪府警と三重県警では、否認を貫く男性をそれでも逮捕した。
「IPアドレスの一致だけで逮捕に踏み切ったのではない。適切な手順を踏んでおり、誤認逮捕という認識はない」(三重県警幹部)と、反省する気配さえない。


こういう警察に対して警察庁の片桐裕長官は「真犯人でない方を逮捕した可能性は高い」と、4人の誤認逮捕を認めた。
しかし警察の取り調べについては「状況を検証しているので、現段階ではコメントを差し控える」と、口をつぐんでしまった。
責任逃れのいつもの手だ。
いまコメントするのでなければ、何の意味があるというのだろう。
月日がたてば人々の関心は薄れ、たとえ不都合な事実が明らかにされたとしても、それを追及する空気はもはや消え失せており、発表側にとっては痛くも痒くもない。
この事件もうやむやに終わり、警察の誤認逮捕もずっと続きそうだ。


ところで、いま僕は警察を責めているが、本当に批判されるべきは無論、真犯人だ。
遠隔操作で脅迫メールを送るという卑劣な犯行を行い、誤認逮捕者が出てきたことを知れば“告白”メールを送る。
終始一貫、犯人がやっているのは自分を安全地帯に置いて、人を翻弄するというあさましい行為だ。
ただの卑怯者である!
卑劣な犯罪者のくせに警察やメディアを手玉にとったつもりでいる。
そういう者を馬鹿野郎!!と、僕は呼ぶ。


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