あつはなつい--蔦の絡まるチャペルの大学 | 風のかたちⅡ

あつはなつい--蔦の絡まるチャペルの大学

「あつはなつい」 なんてのは、玄田ラヂオ チョキ だが

やっぱ、「なつはあつい」晴れわんわん


ツタの絡まるチャペルがある学校で面白いものやっているよ・・・と家のお嬢が教えてくれたが、この暑い中、誰が休みの日に学校なんぞにいくかいなと、一日、水泳三昧で・・・波晴れ波晴れ波晴れ波


そうはいっても、ご苦労にも出かけたお嬢がもってきた論集「雇用・就労形態の多様化の光と陰-いわゆる"非正規労働者"をめぐる諸問題」はなかなか読み応えがあり。ドラフト、報告用レジュメみたいなのも多いのだけれど、そんな中で平野光俊さん@神戸は、さすが切れ味がいいなぁ。


雇用ポートフォリオをちょいとひねったようにみえて、理屈と分析がついてきている。

経営者への調査では、第1象限=企業特殊的な熟練が高く、他部署との分離が難しい(いろいろと調整がつきまとう)業務を担ってほしいと思っているのは正社員、それ以外の第2と第3象限に、経営者の意識としては、非正社員グループが点在する。


HRP1

これだけなら、なんのことはないのだが、平野先生は、同じ事業所の非正社員にも質問している。あなたは企業固有の知識・経験をもっと身につけたいですか等(企業特殊機能)、他部署との調整や予定外の出来事への対応をしたいですか等(コーディネート機能)、と聞いてみる。いずれも5点法だが、働く側の意識は、経営者と随分乖離している。・・・いずれも、より正社員の方に近づくのだ。



こういう結果から、平野先生曰く「非正規労働者は、事業所が求めている以上に企業特殊技能の取得に意欲的である。」「企業は、高い意欲を持つ非正規労働者を十分に活用していない・・・ことを示唆し、意欲に報いる均等処遇を施せば生産性を向上させる可能性を示している」


随分とあっさり、おっしゃっているのだが、傾聴すべき知見ではと思う。

別の論文(小倉@JILPT)では、非正社員を雇う理由を経営者さんはいろいろとおっしゃるけれど、雇用調整のためと人件費節約のためという要因だけが有意だったという結果がある。これって、個人請負を使うときの建前と本音の乖離を分析(専門人材を活用とか言うけれど、実は、コスト削減目的だけか有意)した周燕飛論文とも平仄がとれていたりして。


雇う側の本音は、やっぱりこんなところかと思う一方、働く側の思いというのは、「正社員になりたい」かどうかは分からないが、「より正社員的な働き方」への意欲は強い。両者の思いの行き違いは、直接には、働く側の不充足感となるだろうし、企業の側も生産性向上の機会を放棄していることになる。


企業と働く人がwin winの関係になる基幹化とか均衡処遇とかが具体的にどのレベルで実現されるのかは、実践の問題なのだが、今のままでは、多分企業のためにも、よくないのですということいえるのではないかしらん。