鎧の男「
」
女性「で、私んところにそいつらを始末して欲しいと頼みに来た、だね」
鎧の男「そういったところだ
だが、相手が冒険者パーティーなんで
俺はお勧めしない、と言うより断って欲しい」
女性「じゃぁ来なければ良かったじゃん」
鎧の男が困った表情になってるのを見て女性は続けた
女性「・・・あぁ、分かってるよ、上の言う命令だから
騎士団員である以上は、ね」
鎧の男は王国の騎士団員
王国がこの大きな墓場を管理していて
たまに巡回でやってくる騎士団員の一人
今回のように王国ではどうしようもない依頼も持ってくる
騎士団員「そうだ、だが、断られれば『仕方ない』となる」
女性「仕方ないとなる可能性があるだけでしょ?
一度断っても、結局王国のちからを使って
私らがやるハメになるんじゃない?」
そう言いながら
女性は壁に体を向けて剣の先を壁に押し当て抜き始めた
騎士団員「俺はそう思わない!」
女性「あなたはまだ若いし理想も持ってるからそう思うんでしょうね」
腹部に剣で刺された穴を開けたまま振り向いて言い返す
騎士団員「俺は命令されたことをやった
ことを伝え依頼をした
あとは答えをもらって戻り報告するだけだ」
ちょっと間を空けて女性は言う
女性「一応聞くけど、何で断って欲しいんだ?」
騎士団員はきつい表情で
騎士団員「パーティーにプリーストがいるからさ
今回の依頼でヤツらと戦うことになるだろう
その時にターンアンデットで君は消滅する可能性が高い
君はア・・・」
女性「そうね、私はアンデット
王国の管理下にある無縁墓地の死体にすぎない」
騎士団員「だけど、君はここの管理人でもあるじゃないか
いなくなると困る」
アンデットの女性「ま、管理人でもあるわね、それで私のことを
アンデットプリンセス(不死姫)
って言うヤツもいるくらい
自分で言うのもなんだけど、美しいし~♪
・・・・・死体だけど」
そう言って笑う
不死姫「誰かさんは私の素性も知らずに
見かけだけで惚れてるみたいだけどぉ?↑」
そう言って騎士団員をちら見する
騎士団員は気付かないフリをして
騎士団員「断られた、と報告しておく」
騎士団員が言い終わるか終わらないかのうちに
不死姫「いいよ、引き受けた
依頼書をよこしな、サインするから」
騎士団員は目を丸くした
騎士団員「ダメだ!断れ!
ターンアンデットで消滅する可能性があるのに!
アンデットにプリーストがいるパーティーと戦えなんて!
俺はこの依頼に納得できない!
上官にも代案を提案するから断れ!」
不死姫「代案って?」
騎士団員「俺と騎士団の中で仲のいい連中でなんとかする!」
不死姫「そんなもん、あなたの上官が許すわけないわよ
第一それだと冒険者協会と摩擦が起きるでしょ?
騎士団の上層部だけじゃなく
王国もそれは困ることになるからまず無理ね」
そう言われて騎士団員は言葉に詰まる
不死姫「・・・あなた、本気で私に惚れてんの?
消滅されるのがイヤだから断って欲しいんじゃない?」
騎士団員「なんでそうなる?」
とちょっと緊張が解けた感じで返す
騎士団員が緊張を解いた一瞬の隙を突いて
依頼書を奪うアンデットプリンセス
さらにサインもしてしまう
騎士団員「あ!おい!」
不死姫「ほら、依頼書をなくした、なんて言っても
今度はなくさないように他のヤツが来るだろうし
そいつには『依頼は受けてます』って言っちゃうからな」
騎士団員は差し出された依頼書を受け取って黙ってる
騎士団員「・・・」
不死姫「私はもう死んでるんだ、例え私がやられても気にするな
それに、私がやられてしまうことになったら
騎士団をはじめ王国の部隊も
取締りのきっかけをつかめるんじゃないのか?」
何か言いたげの騎士団員だが言葉を発しない
騎士団員「・・・」
2016-07-16掲載