というわけで、見てきました。
ベイマックス。
ええ!?いい年したおっさんがディズニー映画かよ!?という声もあるかもしれない。
いや、俺もそう思ったよ!
TVCMで、AIの「一人じゃ~な~い~から~♪」という日本版のテーマ曲を聴くたびに「いいよ!!一人で!!」などと思っていたのだった。
火薬と銃弾、殴り合い、飛び散る血 で心が温まる俺には無縁の映画に思われた。
で、まあ先日youtubeで シュワルツェネッガー主演作ゴリラの殴り込み準備シーンをボンヤリと見ながら、「この再生回数の半分は俺なんじゃなかろうか・・・」と思っていると、おススメの動画にベイマックスの海外版CMが現れた。唐突に。
何でゴリラからベイマックスなんだ?
気は確かか?youtube!?
などと勝手にyoutubeの正気を心配をする俺だったが、折角なので見てみよう、と再生したのだった。鼻をほじりながら。
気が付けばトータルリコールのシュワルツェネッガーのような鼻ほじりになっていた。
全然日本の予告と違うじゃねーか!!
これは劇場に行って、真実を確かめるしかあるまい。
いわば俺とディズニーのタイマンだ!
俺が倒せるか!?
そして、鑑賞後。
俺は容易く倒されたのであった。
日本ではハートウォーミングな感動作!!を売りにしているが、実際はハートウォーミングというよりハートバーニングな本作。
まずキャラクターたちからして、バーニングしている
地下ロボットバトルのチャンピオンにして、兵器開発において右に出る者はいない天才少年、ヒロ・ハマダ。
「復讐こそが、ヒロの心のケア!」といわんばかりに、ヒロにより魔改造を施された、超戦闘型介護ロボ、ベイマックス。
生身でも十分強そうな高速移動するツンデレ、ゴーゴー・トマゴ(どっちが名字だよ!?)。
触るものみな傷つける、レーザーブレード装備の黒人、ワサビ。
物質変化ボールというジョジョのスタンドばりにトンチの効いた武装のハニーレモン。
そして、近所のヒーローバカにして、金持ちのボンボン、武器はバトル着ぐるみのフレッド。
十把一絡げに言えば、武闘派オタク集団である。
公開中なので、詳細なあらすじを書くのは避けるが、そんなオーバー・ザ・ディズニーな面々が、意志を持ったレゴブロックを駆使する宿敵ヨーカイに復讐を挑むのだった。
おそらくディズニー史上初であろう復讐をテーマにした本作。
(ディズニー映画を殆ど見てないんで言い切れないが、調べてくれ!誰か!!)
今までのディズニーの基準から考えれば、どうかしているストーリーといわざるおえない。
他にもテーマとかはあったかも知れんが、少なくとも俺にはそう見えた!というか忘れた!!
劇場で見た際には、ユルフワなストーリー目当てであろうカップルが序盤のベイマックスの天然ぶりを笑っていたのだが、別にディズニー好きでもない俺でも心底不快だったのはいうまでもない。
しかし、中盤以降、主人公ヒロの改造により、ジェット飛行、およびロケットパンチで武装してからは、カップルたちも黙っていたのだった。
まさに舐められていたベイマックスが男を見せた瞬間であった。
いつしかベイマックスが、スタローンのロッキーに見えるという、まさかのディズニーマジックを中盤から披露する本作。
ロッキーなベイマックスに対してヒロはアポロだ。
ロッキー3の。
ロッキーシリーズを見たことない人を放置して話を進めさせてもらうが、ベイマックスが高速飛行モードを初披露するシーンは、ロッキー3における、海辺でのアポロとの徒競走並の感動を見るものに与えてくれる。
そして、ベイマックスが戦闘マシーンぶりをMAXで発揮するデストロイモード。
まさに虎の目~アイオブザタイガー~を取り戻したロッキーそのものであった。
ロッキーザファイナルで最初は試合に臨む父を馬鹿にしていたジュニアばりに「誰もベイマックスの事を馬鹿にしていないよ!!」と心の中で喝采を上げたくなることだろう。
俺もオンオフ関わらず、嘲笑われる機会が多いのだが、このベイマックスの姿勢は男なら、明日からぜひ真似したい姿勢だ。
恐らくカップルたちも、ロボットと少年の心の交流を見れると思ってたのであろう。
いやまあ、あるにはあるのだが、鑑賞後、「ドラえもんみたいな話だと思ったのに・・・」という声が聞こえた。
だが、冷静に考えれば年頃の少年だったら、フワフワの介護ロボより、ゴリゴリの戦闘ロボを欲しがるのは当然だ。
俺もかつて近所のプラモ屋で売れ残ったインチキアメリカン満載なガンダムマックスター を自分なりに改造したことがあるのだが、気に入らないロボット(プラモ)を改造するのは全国共通なんだな!! と改めて思った。
本作のキャッチコピーは「優しさで世界を救えるのか?」
それに対して、今作は明確なアンサーを出している。
答えは否!!
世界を救うのは優しさではない。
拳だ!
このアンサーは明日から是非真似したい。
空手イズムを世界レベルで発信するディズニーであった。
ベイマックスに空手の戦闘システムを導入されたのも、そのせいだろう。
この「力なき正義は無能なり」といわんばかりの大山倍達イズム。
「遂に認めたか!ディズニー!」と俺に思わせた。勝手に。
そんな空手バカ要素もある映画ではあるが、そこはディズニー。
得意のお家芸ともいえる感動のラストが待っている。
こう言っては何だが、もはや暴力に近い。
気がつけばベイマックスが俺の涙腺に馬乗りになってマウントパンチ を繰り出してくるのだった。
まさかディズニー童貞を失う映画で復讐、ロッキーイズム、極真精神 を教えられるとは夢にも思わなかった。
今のところ、周りを見渡しても同じ意見を持った人は見たことないが。
というわけで、ディズニー映画の紹介に関わらず、いつも以上に馬鹿な、というかロッキーについて言及する記事になってしまった感は否めない。
だが、嘘はついていない。
同じように、ステイサムのハミングバード以来の予告編詐欺!などと言われている日本版予告編ではあるが、もういっそ騙されろ!!と。
今作を見て、俺のような人間でも、ディズニーランドで明らかにヤクザなおっさんがミッキーの耳をつける気持ちを少し理解が出来た。
普段、悪魔人間と呼ばれる俺でも、エンディングロールで思わず涙でスクリーンが霞んでしまった。
だが、やはりAIの取ってつけたような「ひとりじゃ~な~い~から~♪」 が流れると「またテメエか!!いいよ!一人で!!」とクールダウンするのだった。
返せ!涙を‼︎
とにかく、AIのエンディングテーマを除いて、明日から真似したくなる漢の映画である。